今年ももうすぐ終わり。年の瀬が近づくと、大掃除にとりかかる人も多いでしょう。「大掃除は、スケジュール決めや掃除をする場所の仕分けが大事」と話すのは、汚れ落とし研究家の茂木和哉さん。今回は茂木さんに、大掃除の効率的な進め方について伺いました。
“寒くなる前”に済ませておきたい掃除の場所
── そもそも大掃除はいつ始めるべきでしょうか。
茂木さん:
ふだんから掃除をしていて家がキレイなら、大掃除は別にやらなくてもいいものです。その時間がないからといって、大掃除で一気に全部やる必要もありません。やる範囲を限定すればいいだけ。なるべく年末の大掃除だけで済ませたいなら、早く始めるに越したことはありません。
面倒な大掃除を1日で終わらせようとすると、大変ですし、掃除しきれない場所もたくさん出てきます。思い立ったら早めにスタートしていきましょう。
特に玄関周りや窓など、窓や玄関のドアを開けっ放しにして作業する場所は本格的に寒くなる前に済ませるとラクです。
「ガス台」「シンク」など、掃除箇所を洗い出して
── 進め方のポイントはありますか?
茂木さん:
掃除の場所が多いなら水周りや換気扇など大変なところから少しずつ掃除し、日頃からこまめに掃除をしているなら寒くなる前にやるべきところから掃除していくといいと思います。いずれの方法でもリスト化が大切。
特に掃除する場所が多いと、漏れが出やすいので、まずは「キッチン」「お風呂」と場所別の大項目を分け、その場所ごとに「ガス台」、「シンク」、「電子レンジまわり」、「天井」、「床」と小項目にしていきます。小項目を掃除したらチェックしていき、どんどんチェックを埋めていく。もしチェックできない項目があれば、年明けや春に行うなどしてカバーすればいいでしょう。
大掃除で“最低限やっておきたい”場所がある
── 掃除にズボラな家庭でも、ここだけやるべき場所はどこでしょうか?
茂木さん:
健康に影響が出そうなところは、掃除したほうがいいと思います。
具体的には水周りや換気扇、エアコンなどカビが発生する箇所。カビを掃除せずに放置しておくと体に害が出てしまうので、しっかり大掃除しておきたいですね。水周りのカビを落とすには塩素系洗剤を使うことが主流ですが、掃除場所によっては酸素系洗剤を使ったほうがいいこともあるので、適切な洗剤選びが大事になってきます。
ただ、エアコンの内部だけは業者に任せるべきです。市販のエアコン洗浄剤もありますが、吹き出し口から洗浄剤を吹きかけただけでは、汚れを拭きとりきれません。残った廃液からまたカビが発生するので、内部の掃除は業者を頼るのがベストですね。
また肌が弱い人は肌トラブルが悪化する可能性もあるので、洗濯槽のカビも確実に取るべきです。
掃除分担する時のコツ
── 家族で大掃除を分担する上でポイントはありますか?
茂木さん:
背が高い人や体力のある人はレンジフードの内部やお風呂の天井など、高い所の掃除や力を使う作業をやってもらうと効率的だと思います。
また、ふだんは掃除をしない人や掃除が苦手な人もいますよね。そういう方は、カビや油汚れなど頑固な汚れがある場所を担当してみてください。汚れがごっそり落ちると、達成感を覚えてやる気が出る傾向がありますよ。
※今回紹介した掃除方法は茂木さんおすすめの方法です。住宅設備などによって然るべき掃除方法が異なる場合がありますので、それぞれ利用上の注意などを読み、各自の判断で行ってください。
PROFILE 茂木和哉さん
秋田県出身。独学で掃除と洗剤作りを学び、汚れ落とし歴25年の経験を活かして情報発信や自分の名前をつけた洗剤を多数開発。著書に『茂木和哉 落ちない汚れをラクに落とす掃除術』がある。
取材・文/秋山悠紀 イラスト/かりた