“これで何回目だろう…”。家計を管理してお金を貯めよう、と家計簿をつけ始めても続かない。そんな人に対して、家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「三日坊主になる人には共通点があります」と指摘します。その共通点とは?
たまったポイントまで「お金」として家計簿つける?
家計簿が続かない人の共通点は、「家計簿を細かくつけすぎている」ケースです。収入も支出も、1円単位まできっちり。食費や日用品費のような費目ではなく、「牛乳」や「鶏もも肉」などと品目で正確に書く。ポイントカードのポイントも「お金」と考えて、記入…。
このように家計簿を事細かくつけることは決して悪いことではありませんが、私はすすめません。このやり方は面倒で長続きしないからです。続かなければ意味がありません。
そもそも家計簿は細かくつける必要はないのです。会社の帳簿は1円単位で正確につけなければなりませんが、家計簿は「何にどれぐらい使っているのか」がざっくりわかれば、家計を改善する目的としては十分。「食費は月に約5万円かかる」程度でかまいません。
だから、金額は100円単位からで構いません。食費、光熱費などの費目に分ける程度で良いでしょう。「ポイント」は家計簿にどう付ければよいのか、とよく相談されますが、家計の改善には関係しないので、計算に入れなくて大丈夫です。
気をつけることがあるとしたら、クレジットカードでの買い物は、支払日ではなく購入日で記入すること。後払いを考慮すると毎月いくら使っているのかがわかりにくくなるので、家計簿のうえでは考えないようにしましょう。
家計簿を続けてもムダなケースとは?
“ざっくり家計簿”は長続きしやすくなりますが、それだけでは家計の改善効果は出ません。「予算を決めて、家計簿の数字を見ながら、予算が達成できたか振り返ること」が重要です。
当たり前のようですが、家計簿を記入するだけで満足して、予算を決めていなかったり、振り返りをしなかったりする人は少なくありません。
月1回は振り返り、予算と実際に使った金額、他の月と比べます。出費が増えているようなら、何を改善すべきかを考えましょう。
「毎月黒字」でもお金が貯まらない家庭の問題点
また、たまに見かけるのは、「家計簿をごまかしている」人です。たとえば、先日、家計相談に訪れた方が、「毎月黒字なのに、貯金がたまらない」と。実際の家計簿を見せてもらうと、その理由がすぐにわかりました。
月々の収支を黒字にするのが目的になっていました。結果、予算をオーバーした分は、すべて「特別支出」とみなして、月々の家計簿には記入していなかったのです。
特別支出の分は貯金やボーナスから支払うのですが、そこは管理していないので、後先考えずに使って、不足分はカードで払う悪循環に陥っていました。
月々の収支を黒字にすることで、“自己満足”したかったようなのですが、これでは家計改善になりません。家計簿の数字はごまかさずに、現実と向き合うことが大切です。
監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ