収入が減ったとき、家計を立て直すにはどうしたらいいでしょうか? 家計再生コンサルタントの横山光昭さんにたずねると「他のことを差し置いても、できるだけ早くやった方がいいことがある」といいます。それは何でしょうか。

チマチマ節約に週末副業、それよりも

レジャー費はもちろん、食費や日用品代を切り詰める。電気をこまめに消して光熱費を抑える。収入が減ると、小さな節約を積み重ねてカバーしようとする人もいるでしょう。

 

しかし、この方法では大きな節約にはつながりません。「野菜は高いから、なるべくもやしを使おう」「トイレットペーパーは小さく使おう」と、ケチっていると気まで滅入ってきて、ストレスが増す原因にもなります。

 

また、最近は「収入のたしにしよう」と、スキマ時間や休日に副業する人が増えているようで、働きづめで疲れきった方を家計相談でも目にします。そういう姿を見ると、積極的に副業をすすめる気にもなれません。

 

そうした努力をしなくても、別のことをひとつするだけで、家計状況は大幅に改善できると考えています。それは、「大きな固定費を早めにカットすること」。具体的にいえば、「家賃の安い家に引っ越す」「車を手放す」などです。

毎月510万円のコストを下げる節約がある

こういうと、「家や車などに手を付けるのは抵抗がある」「それは最後の砦では?」と思うかもしれません。

 

たしかに、住み慣れた家から離れる選択は取りにくいことです。遠くに引っ越して、子どもの保育園や小学校が変わると、友達と離れてかわいそうとなるかもしれません。

 

しかし、家計に与えるインパクトは計り知れません。新しい物件の敷金・礼金、引越し費用など、一時的に費用がかかりますが、毎月のランニングコストは大きく下げられます。月5~10万円下がれば、すぐに引越し費用の元が取れるでしょう。食費や日用品代をケチったり、疲れているのに副業したり、といった小さな努力で得られる節約効果が1回で得られるわけです。

家賃が5万円安い場所に引越ししたお客様のその後

さらに、当然のことですが、決断するのが早ければ早いほど、節約金額は増えます。だから、「最後の砦」より、早めにその決断を下したほうが良いのです。

 

先日、家計相談に訪れたお客様は、それを実践した好例です。本業の飲食業の収入が減ったことから、住んでいた家賃12万円の家を引き払い、7万円の家に引っ越しされました。

 

駅から遠くはなりましたが、家の広さは変わりません。生活レベルが下がった感覚はなかったそうです。これで家計管理が大幅にラクになり、今では貯金もできるようになったそうです。

 

ワクチン接種率が上がり、感染拡大が収まっても、すぐ収入が上がる保証はありません。そうした悪く見積もったシナリオを頭に入れて、早めに大きな支出に手をつけることをおすすめします。

監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ