干してある下着に困る義父

三世代同居ではよく話題になるプライバシー問題。

 

一緒に暮らしはじめてからやっと、ああこんな問題もあるのか!と気づくことも多いものです。

 

私が盲点だったのは洗濯物の部屋干し。どんどん行き場を失った洗濯物はどうなる…?

子ども部屋を作ったことで部屋干し難民に

我が家は最近まで、室内干しのスペースにはそれほど困ったことはありませんでした。

 

さらに子どもたちも成長し、乳幼児の頃のようにたくさんの量の着替えが必要な時期も過ぎました。少しずつラクになってきたわ~などと実感していたここ数年。

 

私はすっかり失念しておりました。

 

子どもたちがそろそろ、個室を欲しがるお年頃だということを…。

 

もちろん頭ではわかっていたのです。男女のきょうだいをいつまでもひとつの部屋に押し込めておくわけにもいくまい、部屋数も何とか都合をつけて、子どもたちの個室を作らねば…と。

 

そしてそれに伴い、今まで室内干しのために使っていたスペースに、何としても私たち夫婦のベッドを押し込まねばならない、という事実に気づくのが、すっかり遅れていただけなのです…。

 

何とかして室内干しのスペースを確保しようと、私は、模様替えの前に何枚も図面を描き、ああでもないこうでもない、と試行錯誤を繰り返しました。

 

私たち世帯の占有スペースである二階は全部で5部屋。

 

そのうち2部屋は狭くて、納戸と、義父の書斎としてそれぞれ使っています。

 

残り3部屋を二人の子どもそれぞれの個室、そして夫婦の寝室に割り当てると…いったいどこに洗濯物を干せばよいのか?

まさかのあそこに…洗濯物のれん街が爆誕

それぞれの個室に干すことも考えましたが、洗濯の作業効率が落ちます。そして何より湿気が充満して不快指数が上昇し、暑い季節はとくに快眠の妨げになることなどから断念しました。

 

どの部屋にも干せない…いよいよ追い詰められた私は、ついに禁断の場所に手を出しました。

 

それは二階の廊下です。

 

見た目が悪い、導線をふさぐ、などという問題も考えましたが、背に腹は代えられません。

 

こうして部屋干しの日は、大量に干された洗濯物ののれん、そう“洗濯物のれん街”が二階の廊下に爆誕することになったのです。

下着を廊下に干すことで発生する大問題

部屋干しをするとき、私はせめてもの配慮として、廊下を通る人の顔に当たるような位置に下着を干したりはしないように気を付けていました。ごく当たり前のエチケットだと思っていたのですが、この認識が甘かったのです…。

 

夫や子どもが洗濯物を干した日は、よりによって一番目立つ、顔が当たる場所にどどんと下着が干されていることが多いのです。

 

最初のうちは口うるさく注意していた私も、そのうちだんだんと感覚がマヒしてきて、恐ろしいことに“下着ののれん”にさほど違和感を覚えなくなっていったのです。

 

しかしある日のこと、自分の書斎へ向かう義父が、娘のパンツや私のブラのれんを気まずそうにくぐっているのを見て、改めて自分たちのエチケットのなさに恥じ入りました。

 

そして極めつけは先日の出来事。

 

高校生の息子が自室に友達を呼んだのですが…息子の部屋には廊下を通らなければ行けません。

 

あとは皆様お察しの通り。

 

来客前に洗濯物を片づけるなどという意識はまるでない息子。幾人もの思春期男子が、息子の部屋に向かうとき、そしてトイレに往復する際、我が家の洗濯物のれん街の下を潜り抜けていったのです…。

 

そのことに気づいて悲鳴を上げた母でしたが、時すでに遅し。

 

人を家に呼ぶ際は、必ず洗濯物を片づけること!せめて下着だけは絶対に!と子どもたちに厳命しましたが、果たしてこの約束、何度破られることになるでしょうか…今からすでに頭が痛いです。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ