「家のことなんだけど…」「車の支払いってさ…」。お金の話を始めると、パートナーにイラッとされる。または、パートナーがため息混じりに話し始める。こんな気まずい空気で話しても、建設的な意見は出にくいものです。
家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「話し合えない原因の多くは『タイミング』」と指摘します。前向きに話せるタイミングを教えてください!
「平日の夜」や「週末」が話しやすくない理由
「夫婦でお金の話をするタイミング」というと、多くの場合は、平日の夜か週末ではないかと思います。しかし、平日の夜はどちらかが「仕事で疲れているから週末にでも」となりやすく、週末は週末で「休みの日ぐらいのんびりしたいから、また今度」となりがち。
このように堂々巡りになると、話を持ちかけた方は「一体、いつなら話せるの?」とイライラしますよね。言われた方も「うるさいな。こっちも疲れている!」と険悪なムードに。これを繰り返すうちに、お金の話をしなくなってしまう…。心当たりがある人もいるでしょう。
円満にお金の話をするためには、いつ話を持ちかけるべきでしょうか?
理想的なのは、月1回、20~30分程度でかまわないので、定例の「マネー会議」をすることです。「それこそめんどうくさがられるのでは?」と思うかもしれませんが、予想に反して快諾してくれることがあります。
なぜかというと、パートナーがお金の話を先送りにしたがる理由の多くは、“急に”話をもちかけるから。
心と頭の準備ができていないので、「めんどうだし、後回しにしたい」心理が働きます。それに対し、定例マネー会議なら、お金の話をする予定が決まっています。心と頭の準備ができるので、そこまで嫌がられないのです。
また、毎月20~30分でも話し合っておけば、話さなければいけないことをためこまずに済みます。何時間も話す必要もないので、“めんどうなイメージ”はますますなくなるわけです。
話し合うときは、テレビをつけるよりも…
もちろん、定例マネー会議すらめんどうくさがるパートナーもいるでしょう。そんな相手に対しては、「話し合いたい内容を具体的にまとめて、日中にLINEなどで送っておく」ことをおすすめします。
たとえば、「マイホーム購入のための貯金の件だけど、月5万円ずつ貯めていこうと思う。5万円で良いかどうか考えておいて」などと送っておくのです。
ポイントは、「貯金の件、どうする?」と抽象的に聞くのではなく、「5万円ずつ貯める」など、具体的な案を示すこと。すると、相手は考えやすくなります。
もうひとつのポイントは、すぐに答えを求めずに、考える時間を設けることです。そうすれば、仕事帰りの電車内など、時間のあるときに考えておいてくれるでしょう。
ここまでお膳立てしてから、相手の帰宅後に、「貯金の件だけど…」と持ちかければ、いきなり相談したときよりも嫌がられることはなくなるはずです。
また、話しかけるときには、テレビではなく、音楽を流しておくと良いでしょう。テレビを見ていると、そちらにすべての意識が集中するので、話しかけると億劫になることもありますが、音楽なら意識がすべて持っていかれることは少なく、会話はしやすいでしょう。
監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ