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年齢に関わらず輝く女性が増え、加齢は必ずしもネガティブなものではなくなってきています。

 

とはいえ、30代になって、いざ加齢に直面すると、ショックを受けるのも事実。加齢をポジティブに受け止め、うまく付き合って行くにはどうしたらいいのでしょうか。

 

30代を駆け抜けて美しさに磨きがかかる俳優のMEGUMIさんと、トータルビューティークリエイターの美木ちがやさんの対談から、そのヒントを探ります。

白髪、シミ、シワ…初めて“加齢”を感じたのはいつ?

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── 30代になり、髪や体の変化に戸惑う女性は少なくありません。まず、お二人が白髪など「年を取ったな」と最初に感じたのはいつごろでしたか?

 

MEGUMIさん:20代半ばに、顔にシワが現われてきたときです。自分の写真を見るたびにショックを受けましたし、外からの「MEGUMI、老けた」という声にも焦りました。

 

長くグラビアをやってきたので、日光にさらされる時間が長く、肌がダメージを受けていたのでしょう。それまでシンプルなケアしかしてこなかったことを反省して、「肌を育てよう」と腹をくくり、周囲のメイクさんや美容家さんから情報を集めて片っ端から試していきました。

 

ちがやさん:「しょうがない」って諦めてしまう人は多いけど、「先の自分を見たい」とマインドチェンジするのは、どんな世代でも大事ですよね。

 

私は今、58歳ですが、初めて衰えを感じたのは…昔のことすぎて覚えてないな()。でも、60代で白髪混じりのヘアスタイルを模索し始めた母(現在82歳の川邊サチコさん)みたいな先輩が身近にいるから、「若い頃みたいでいなくちゃ」みたいな気持ちはありませんでした。むしろ、早く年を重ねて、彼女たちに追いつきたいなと思っていたぐらい。

 

もちろん自分の変化とうまく付き合えるようになるまでには、迷いもたくさんありました。「きれいにするよりも、年を取ったからこそ感じられるかっこよさが大事なのかな」「年を重ねることを成長と捉えるようにしたらどうかな」など、試行錯誤がありました。

産後の孤独感を美容が癒やしてくれた

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── 妊娠、出産を経て髪質が変わったにもかかわらず、髪の毛の手入れをしないまま年を重ね、気づいたら白髪がチラホラ…という読者は多いようです。

 

ちがやさん:確かに産後は、自分の変化にショックを受けますよね。もともとコンプレックスだらけだったけど、産後に髪も肌も元気がなくなったときに「変わっちゃった…」と、さらに自信をなくしたのを覚えています。

 

MEGUMIさん:私は27歳で出産しましたが、やっぱり産後はびっくりするぐらい髪の毛が細くなって、抜け毛も増えました。生活もガラリと変わって、大人とひと言も話さずに1日が過ぎたり、お風呂に一人で入れなかったり…。姿形の変わらない夫や同世代のキラキラした女性と自分を比較して、焦りや孤独を感じていました。

 

ただ、そのなかで香りのいいシートパックや、たまに一人で半身浴ができたときなんかの気持ちよさが、自分を精神的に満たしてくれるのも感じて。周囲からの評価に応えるためにしていた美容が、自分をいたわり、癒やすための方法に変わったのも産後でした。

 

それからは、自分をケアする手段として、生活に美容を取り入れるようになりました。白髪が出たり、肌荒れをしたりもするけれど、落ち込むのではなく、手をかけて結果が出るのをよろこぶ自分でありたいと思っています。

 

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ちがやさん:美容は、他人のためでも、若いままでいるためのものでもなく、自分らしくいるためのものですよね。「母親だから」「結婚したから」と制限をかける必要はない。

 

MEGUMIさん:母親であっても、自分が心地いい時間をうしろめたく感じる必要はありませんよね。子育てをして、仕事もして、すごくがんばっている人が、月に一度、美容院に行く時間を取るぐらい、許されないはずがない。

 

ちがやさん:髪を洗ってもらったり、話を聞いてもらったりすると、心身のカウンセリング的な効果もあるしね。何より、家族との生活で埋もれがちな“自分”を確認できるのがいい。

 

働き盛りの女性は忙しすぎて、自分のセンス、目指していた大人像を忘れてしまいがち。「とりあえずひとつに結べる髪型」「とりあえず目立つ白髪は隠す」みたいな発想で、本当に自分がどうなりたいのかを置き去りにしやすいんです。

 

うちのサロンには20代から80代まで幅広い年齢層の女性が来ますが、自分に注目しないまま子育てが終わって、いざ解放されてから「自分がどうなりたいのかわからない」という人は多いんですよ。

“つやつやピカピカ”ではないすてきさもある 

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MEGUMIさん:日本では、「女性は若い方がいい」という価値観が根強いですよね。

 

ちがやさん:でも、髪の毛にしろ、メイクにしろ、服装にしろ、若いときと同じであることにこだわりすぎてしまうと、かえって老化が目立ってしまうんですよね。肌や体型は変わっているから、アンバランスなんです。

 

年を取って体が老化するなら、若い頃の“つやつやピカピカ”ではないすてきさを目指した方がいい。年を重ねたからこその味や雰囲気は増してくるのだから、加齢をどうポジティブに捉え、アイデアを持って進化していくかが重要なのだと思います。

 

MEGUMIさん:海外に行くと、マダムが体型を隠さず、体にフィットした水着を着てビーチを楽しんでいたりしますよね。「自分の変化を受け入れるのがイケてる」っていう価値観が広まれば、日本人も「私の白髪なんて」「私のシワなんて」って思えるのかもしれないですよね。

 

ちがやさん:ファッションが多様であるように、髪型にもいろいろな美があっていい。ごわつかせたり、ボリュームを持たせたりするようなスタイルもすてきですよ。白髪を発見したら、「どう生かして年を取った自分にふさわしいすてきさを作っていこうかな」と悩める。そんな成熟した大人になっていきましょう! 

 

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PROFILE 

MEGUMI(めぐみ)さん

MEGUMIさんプロフ

岡山県出身倉敷市出身。2001年デビューしテレビや雑誌などで活躍。その後、映画やドラマ、舞台への出演により活躍の場を広げている。2020年、第62回ブルーリボン賞助演女優賞受賞。テレビ朝日「あのときキスしておけば」レギュラー出演中。Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督シーズン2」2021年6月24日より配信。自身のウェブメディア「+collaborate」を展開している。

 

美木ちがや(みき・ちがや)さん

美木ちがやさんプロフ

1963年、東京生まれ。トータルビューティークリエイター、カメラマンとして雑誌等でマルチに活躍。東京都・渋谷で完全予約制サロン「KAWABE LAB」を運営し、母・川邊サチコさんとともにヘアメイク、ファッションのトータルアドバイスも行う。著書に『HAPPY AGEING これからの私に合うおしゃれ』(サチコさんとの共著)など。

 

取材・文/有馬ゆえ 写真/増永彩子