「障害を抱えるシングルマザー」が陥る制度の隙間
ここで、ひとり親家庭のなかでも、とりわけ深刻なケースをとりあげてみたい。それは「親に障害のある、ひとり親家庭」の問題だ。 ひとり親が障害を抱えて「障害年金」を受け取ると、ひとり親家庭なら受け取れるはずの「児童扶養手当」が受け取れなくなる。併給が認められていないのだ。ただし、配偶者がいる場合は併給が認められている。 そんなバカな話があるだろうか。 ふたり親よりひとり親の生活の方が大変なのは当たり前…。それに、障害年金は親の権利、児童扶養手当は子どもの権利である。 さらに、もしひとり親が障害年金を受け取ると、行政などが展開している「ひとり親家庭支援」(例:都営交通の無料乗車券、上下水道の減免など)の受給対象からも外されてしまうという。
障害を抱えることで、子どもに与えることができない「経験の貧困」にも直面する。週末や夏休みに、親が映画やテーマパーク、旅行などに子どもを連れて行くことは、障害を抱えるひとり親にとっては難しいことなのが現実だ。 子どもの自由を束縛して、介護を強いることになる「ヤングケアラー」の問題もある。