つまり、今日食べるものにも事欠く、身に着ける洋服や靴もない、帰る家もない…など、後進国に見られるような「絶対的貧困」のケースは、日本には少ないのだ。 むしろ、衣食住はなんとかなっているし、ある年齢になれば携帯電話も持っている。 けれど、子どもたちの多くが通う塾に自分だけ通えない、お金のかかる部活動ができない、修学旅行に行けない、希望の進学ができない…など、「相対的貧困」のケースが多いと言える。

活躍する女性が増える一方、二極化が進んでいる

なぜ、このようなことが起きているのか。理由は様々あるけれども、なかでも大きいのが、女性労働者の56.3%が「非正規雇用」であることだろう。 男性の正社員の給与を100と考えたときに、女性非正規社員の給与は64.2でしかないのだ(※4)。 「年齢別に働く女性の割合」は、女性は出産時にいったん仕事から離れるケースが多いことから、グラフにすると「M字カーブ」を描いていたが、現在、子どもができても働き続けるケースが増え、M字カーブもゆるやかになってきている。 19852009年に、約6割の女性が仕事を辞めていたことを考えると、20102014年は46.9%になり、減ってはいる(※5)。

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国が「女性活躍」と連呼しているなか、社会で活躍を続ける女性が増えていることも事実。しかし一方で、先ほどの「非正規」の割合がうなぎのぼりに増え、賃金格差が広がっているというデータもある。 結果、「非正規」「シングル(シングルマザーも独身も)」に加えて「中年」の貧困問題が深刻になった。 女性は結婚して夫に扶養されればいいという考え方があったために、顧みられていなかった女性の貧困が、未婚率の上昇とともに顕在化してきたと言える。