父の帰りが早い日や、習い事の進級テストに受かった日。
そんな、ちょっとだけ特別な日には決まって、
から揚げやコロッケなどの揚げものが食卓に並びました。
台所からは「パチパチパチパチッ」と、
まるで家族を祝う拍手喝采のような油の音が聞こえてきて
家の中がおいしい匂いで満たされていきます。
大皿に盛られて食卓に運ばれてくると、
家族みんなの箸が伸びる、伸びる。
父も機嫌がよく、「今日はもう1杯!」と
2本目のビールを開けていたのを覚えています。
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そんな、なにげない普段のごちそうですが、
自分たちが親の世代になり、仕事をもつようになると、
おいしいとはわかっていても、なかなか手が及びません。
「油ハネや残った揚げ油の処理が大変だし… 」
もちろん、それはそうなのですが、
私たちが揚げものから遠ざかっているのは、
単純に揚げものという料理のハードルを
高くし過ぎたからかもしれません。
少ない油でもおいしい揚げものは作れる
そう気づかせてくれたのが、
料理研究家・上島亜紀さんの著書
『1/5の油で5倍おいしい!フライパンでラクちん揚げもの』
(家の光協会)
でも油が少ない、いわゆる”揚げ焼き”だと
手軽には作れても、
どうもおいしくならないと思っていたのですが、
そこには、料理家さんならではアイデアがありました。
▲スポーツに励む大学生の息子さんを持つ上島さん。
ご自身も普段から揚げものなどのボリューム満点の料理を振る舞っている。
上島さんの“1/5の油で揚げる”5つのメリット!
1.使う油の量はわずか1/2カップ
一般的な揚げもの鍋の場合、およそ500mlの油を使います。
それが今回の調理法なら、わずか100mlですみます。
▲右が一般的な鍋で揚げた場合に使う油の量。くらべてみると、この違い!
2.短時間で調理できる
油の量が少ないとすぐに温度が上がるので、
待ち時間なく、すぐに調理がはじめられます。
3.揚げムラが少ない
小さいフライパンは2人分の材料でいっぱいに。
材料が泳がないから入れた順に揚げ具合が確認でき、
ムラなく仕上げられます。
4.油のあと処理が簡単!
調理後に残った油は
キッチンペーパー3枚ほどでふきとれる量に。
めんどうだったあと処理が簡単だと、
揚げもののハードルは下がりますよね。
▲フライパンを流しに入れる前に、サッとふくだけ。
5.フレッシュな油で、おいしく健康的
少ない油だと毎回、使い切れるので
保存しているあいだに油が酸化する心配もありません。
1/5の油でも、5倍おいしく揚げる方法
下準備
まずは直径20cmのフライパンに100mlの油を用意します。
1.油を強火で熱する
適温は約170度です。
乾いた菜箸を入れて勢いよく泡立つのが目安。
2.食材をぎっしり並べる
そうすることで少ない油の液面が上がり、
キレイな仕上がりになります。
3.食材を入れた順に裏返す
底面が揚げ固まったら、
油に入れた順に一度だけ返します。
4.裏面をカラッと揚げる
徐々に油の量が減ってくるので、
側面に揚げ色がたりなければ
フライパンをゆすって全体に油を回します。
5.泡が小さくなったら揚げ上がり
全体に程よい揚げ色になり、
泡が小さくなったらとりだすタイミングです。
6.小さい面を下にして立てる
バットに立てるように置いて、
余分な油を素早く落としましょう。
\できあがり/
さぁ次回は、この方法で作る
から揚げとロースカツのレシピをご紹介します。
教えてくれたのは…
料理研究家/上島亜紀さん
料理家・フードコーディネーター・スタイリストとして女性誌を中心に活動。企業のレシピ監修、提案も行う。パン講師、食育アドバイザー、ジュニア・アスリートフードマイスター取得。料理教室「A’s Table」を主宰。家庭料理を手軽に作りやすく、おいしくするワザに定評がある。
新著『1/5の油で5倍おいしい!フライパンでラクちん揚げもの』が好評発売中!
【取材・文】さくまえり 【撮影】木村 拓
直径20cmのフライパンに100mlの油だけで、手軽に揚げものが作れるレシピ集です。短時間ででき、仕上がりもキレイ! もちろん、あと片づけも簡単です。定番からアレンジレシピ、作りおきやスイーツまで、毎日使えるサックサクの63レシピが紹介されています。1200円+税/家の光協会
1/5の油で5倍おいしい!フライパンで作る揚げものバンザイ
【前編】「少ない油でもおいしい揚げものは作れる」
【後編】「から揚げ&ロースカツのレシピ」