他の伝統芸能とコラボする発表会に出演!


元々こちらの篠笛体験講座は、文化庁の平成29年度の文化遺産総合活用推進事業の一環として行われていました。『地元の豊かな伝統文化・芸能をまちなかで気軽にみて、きいて、ふれること』を目的として開催されていましたので、篠笛の他にも“車人形(3つの車が付いた箱型の車に腰かけて人形を1人で操る特殊な人形芝居)”と“説教節(語り物文芸・語り物芸能)と三味線”の体験講座が並行して市内で開催されていて、発表会は、この3つの芸能を順番に発表して、最後は3つの芸能をコラボレーションさせる形でフィナーレを飾る事になっていました。 発表会の前に原先生から幾つかアドバイスがありましたが、邦楽の発表は以下のルールが基本の様です。 「前髪は上げる(おでこを出す)。装飾品は一切付けない。綺麗な格好で舞台に上がる。」 前髪が顔にかかっていると顔がはっきり見えないし、装飾品は光を反射するので宜しくない。そして綺麗な格好というのは、着飾るというのではなく、聴衆の皆様に不快感を与える格好をしないという意味だそうです。たとえ素人の発表会でもせっかく聴きに来てくださった方に失礼にならないようにとの配慮だそうで、こういった細かい部分にも、日本人のさりげない気遣いといいますか、おもてなしの心が現れている気がしました。 さて、発表会前日に全ての体験講座受講生でリハーサルを行い、いよいよ発表会当日が来ました。 一応家族も「せっかくだから成果発表は聞いておくよ」と観に来てくれましたが、正直そこまで上手くはならなかったので微妙な気持ちでした。息子の前で音を外したらいやだなあとか思って…(笑)。 当日は一応私も着物着用で恰好だけはつけてみました。受講生の中高年のマダム達数人は素敵な着物着用で、男性はジャケット着用の方が多かったと思います。 原先生は「たった7回の練習でここまで演奏出来るのは凄い事なの!自分らしくありのままでやりなさい!」と受講生達を舞台に送り出してくれました。私は緊張するかなと思ったら、そこまで緊張はしませんでしたが、舞台に上がった後は、楽譜を目で追い指を動かすので精一杯で、あまり演奏中の事は覚えていません(笑)。聴衆席を見る余裕すらありませんでした。いやもう音を外さないよう、テンポを狂わさないよう必死でした。 また、この日は他の2講座の発表も鑑賞出来たのですが、車人形も説教節も初めて目に、そして耳にした芸能でしたのでとても新鮮でしたし、地元にこんな素晴らしい文化があったのか!もっと早く知りたかった!と、何だか地元民として誇らしく嬉しい気持ちになりました。 そして発表会の最後は「さくらさくら」を篠笛で演奏し、説教節の皆様が謡い、車人形が舞い踊る形式でフィナーレを迎えました。この時篠笛奏者は客席の通路に立って演奏したので、ここでやっと主人と息子の姿を発見!息子がニコニコ手を振っていたので、とりあえず笑って軽く手を挙げて応えましたが、その後はまた必死で演奏して終わってしまいました(笑)。 「さくらさくら」の後は舞台に集まり、聴衆の皆様に挨拶をして、聴衆の皆様が帰られた後に、出演者全員の一本締めでしめくくり、解散。こうして私の篠笛体験講座は終了しました。 この後、篠笛体験講座の受講生皆で、お世話になった原先生にサプライズで大きな花束をプレゼントしました。 原先生にコメントを頂いたところ、「練習期間が7回しかなくて、この少ない期間で受講生を発表会の舞台に上げなければならなかったので、あえて稽古の時は怒ったり怒鳴ったり、厳しく稽古させて頂きました。 本来舞台に立てる程度の腕になるには12年位はかかります。稽古の費用もそれなりにかかりますしね。でも私は練習が7回だからといっても、クオリティの低い演奏はさせたくなかったのですよね。でも皆さん立派にやり遂げましたよ。皆さん素晴らしかったです。 指導について?私はとっても指導するのが楽しかったですよ。出来れば毎年今回の様な体験講座の指導をやらせて頂きたい位です。」と、邦楽のプロとしての素敵なお言葉を聞かせて頂きました。 受講生の皆様と挨拶をして別れた後、会場のロビーで待っていてくれた家族と合流し、帰路につきました。息子が「ママ格好良かったよ!」と褒めてくれて、主人も「7回の練習の割にはうまくいったんじゃない?」というコメントを貰いました。本当に家族の協力あって、子供の頃の憧れを一つ成就させることが出来ました。こういう機会を与えてくれた家族にも心から感謝しています。

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※写真左:講師の原先生 / 中央:地元の伝統芸能『車人形』 / 右:発表会の様子