共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。
「働くをもっと楽しく、創造的に」を企業ミッションに、他社をも巻き込んだ働き方改革を提唱しているChatwork株式会社。「すべての人に、一歩先の働き方を」をビジョンとして掲げ、業務の効率化と企業の成長を目的としたビジネスコミュニケーションツールを開発・提供しています。
2011年3月から提供が始まったビジネスチャットツール「Chatwork」は、チャット機能をはじめ、タスク管理、ファイル管理、ビデオ通話などのさまざまな機能を備えており、使いやすさ、わかりやすさから利用者率No.1(*1)に。国内外合わせて29.6万社(*2)以上の企業で採用されています。
(*1)Nielsen NetView および Nielsen Mobile NetView 2020年6月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。調査対象44サービスはChatwork株式会社にて選定。
(*2)2020年12月末時点
コロナ禍で誰もが働きづらさを感じる状況のなか、いち早くリモートワーク特有の課題を見つけ出し、その解決のための新しい施策に取り組んできたといいます。その具体的な取り組み内容について、ピープル&ブランド本部の内田良子さんにリモートでお話を伺いました。
一歩先の働き方を提案するためにまずは自分たちが一歩先へ
── 社員の定着率が高く、福利厚生の面でもユニークな制度を多数取り入れていると伺いました。まずは「働きやすさ」の根底にある、独自の社風について教えてください。
内田さん(Chatwork):
私たちが働くうえでもっとも大切にしているのが、「自然体で成果を出す」「いつも心にユーモアを」「オープンマインドでいこう」「ユーザーに笑顔を」「自分ごとで行動する」という5つの価値観。同じカルチャーを共有し、まずは自分たちが自主的に楽しく創造的に働ける環境をつくることで、自然と成果が生まれてくると考えています。
社員ファーストこそが企業成長への近道
── これまでも、社員が実家に帰省する際に費用を補助する「ゴーホーム制度」や、知見を広げるため、海外旅行の費用を補助する「ゴーグローバル制度」など、ユニークな福利厚生制度を実施されていますね。コロナ禍においては社員を取り巻く環境も大きく変わってきていることと思います。現在はどのような取り込みをされているのでしょう?
内田さん(Chatwork):
「一歩先の働き方を提供するためには、まずは自分たちが一歩先の働き方を」という考えをもとに、コロナ禍以前からリモートワークをしていました。そういう背景も手伝って、短期間で在宅勤務率100%を達成することができました。また、急激に変化する社会情勢に対応するべく、新型コロナウイルス感染症に対する取り組みを早い時期から段階的に導入。状況に応じて制度の見直しや改善を行っています。
── もともとの取り組みが時代にマッチしたといえそうですね。具体的にはどのような取り組みをしてこられたのでしょう?
内田さん(Chatwork):
昨年2月には全社員を対象に在宅勤務を推奨、3月には原則在宅勤務に切り替え、非常時特別手当(通信費や光熱費などの金銭的支援)や「一歩先の働き方支援制度」という名称で、在宅ワーク環境整備の支援制度を新設しました。さらに4月からは、在宅勤務が続くことによるメンタルサポートやオンラインランチができる環境を整備しました。
── 不安を抱えながら過ごす期間が長くなるにつれ、ストレスを抱えたり、体調を崩したりする人も増えてきます。気軽に相談できるシステムや社員同士で交流できる場があると、気分転換になりますし、モチベーションも上がりますね。
内田さん(Chatwork):
そうなんです。たとえば在宅勤務ひとつとっても、身近にITに詳しい人がいなかったり、自宅で仕事ができる環境が整っていなかったり…。そういった不安やストレスをスムーズに解消できるよう、全社員が入っているグループチャット「在宅ノウハウチャット」を立ち上げ、在宅勤務に慣れていない社員が質問したり、在宅勤務に慣れている社員がアドバイスしたりしています。おすすめの在宅グッズを投稿することもできるんですよ。
── 自分で一から調べるのは大変ですから、先達の知恵を借りられるのは助かりますね。
内田さん(Chatwork):
本当に助かっています。それに加えて、新しい試みとして、会社の椅子を自宅に配送する対応をとりました。自宅で長時間パソコンに向かっていると疲れがたまりやすいですが、会社と同じ椅子を使用することで体への負担を減らすことができます。
「一歩先の働き方支援制度」では、在宅勤務に必要なデバイスの購入や在宅グッズの購入を一部補助したり、働く環境を改善するための引っ越しやリフォームの費用を補助したりと、リモートワークによる不便やストレスを軽減する取り組みを行っています。
例えば、自宅のワークスペースを快適な空間に変身させた者もいます。以前はキャンプグッズ用のコンテナに折り畳みテーブルをのせて、臨時のワークデスクにしていたそうですが、「一歩先の働き方支援制度」を利用してデスクを購入したところ、とても働きやすくなったと聞いています。
この状況は当面変わらないと考えられるので、今後も継続して社員の働きやすさをきめ細やかにフォローしていきたいと考えています。
…
社員の働きやすさを追求することが、ひいては社会全体の働きやすさにも繋がる──その強い思いがこの苦しい状況でも追い風になっているように感じました。次回は、社員1人ひとりのライフステージに合った働き方の取り組みについて伺います。
取材・文/梶 謡子