コロナ禍はなかなか収束の気配を見せず、私たちの心に暗い影を落としています。

 

なんとなく不安、心がざらざらする…。気づかないうちに心が疲れている子育て世代が増えているように感じます。あなたは今、つらさを抱えていませんか?パートナーや子どもはどうでしょうか?

 

心が壊れてしまう前にできることは何か。「現代の生きづらさ」の要因とともに考えます。

 

前回の「生き抜く力をつけさせるため、子どもの自己肯定感をどう育てる?」では子どもの自己肯定感の必要性と親が心がけておきたいことを、自殺予防について研究している心理学者の末木新さんに教えていただきました。第5回は多忙な子育て世代の女性が自分自身の心を守る方法について。引き続き末木さんに伺います。

 

※本記事は自殺をテーマにしております。決して自殺を肯定する形で扱っているものではございませんが、メンタルに影響を与える可能性がございますので、閲覧する際はご注意下さい。

家族に感謝を伝えれば幸福感は上がる

—— 昨年コロナが流行し、緊急事態宣言が発出されて以降、女性が職を失ったり、仕事はあっても慣れない在宅ワークと休園休校で行き場を失った子どもの世話との両立に疲弊したりするなど、困難な場面が続きました。コロナ禍はまだ続いていますが、そんな子育て世代の女性が心を守るためにできることはありますか。

 

末木さん:

コロナ禍の収束は見えませんが、同じ状況でも思い悩む人とそうでない人がいます。それは一つに、幸福感が高く人生満足度が高いかどうかがあると思います。

 

幸福感を上げ、人生満足度を上げる方法はいくつかあります。もし人生に満足できないというモヤモヤした思いを抱えている人がいたら、この方法を試してみるといいと思います。

 

まずは、家族に感謝を伝えてみる。自分がやってもらったことについて、こういう風に感謝しています、と相手に伝えて表現するのです。そうすると家族との関係性そのものが良くなって、所属感を高めることにつながります。この所属感は、弱まると孤立が深まりと言われています。そういった意味でも、この方法はおすすめです。

 

また、「今日1日あった良かったことをピックアップする」「誰かに親切な行動をする」「楽観的、ポジティブに考える」などの行動によっても幸福感が上がります。

 

—— あらたまって家族に感謝を伝えるのは、ちょっと照れ臭い気もしますが。

 

末木さん:

これらはアメリカ発のワークなのですが、幸福感を上げる効果がそれなりにあるようです。

 

「最高の自分を想定し、未来を描く」というワークもあるのですが、これなども学生によっては自分のキラキラした未来を想像することで、「自分のモチベーションが上がって、いろいろなことがはかどりました」と言います。自分に合いそうならぜひ一度試してみてほしいですね