子どもに居場所と役割を与える
末木さん:
そうですね、ポジティブに自分を捉えることはとても大事です。そのためには、居場所と役割を確保してあげること。居場所があって自分がやるべきことをやっていて、「自分はこれでいいんだ」と思える状態なら自分の人生を肯定できるはずです。
—— 居場所はどうしたら作ってあげられますか?
末木さん:
まずは「自分は家族の一員である」という気持ちを持たせることです。共働きも増え多忙な子育て世代だとは思いますが、できるだけ子どもと話す時間を取ってください。あるいは話さなくても時間を共有することを意識してみましょう。孤立させないことが大事です。
ただ、子どもというのは家庭だけに所属しているわけではありません。学校や地域でいろいろな関係性を持っていますよね。学校での友人関係に親が介入しようとしてもほぼできませんし、充実させたいと願ったとして、それがうまくいくかどうかはケースバイケースです。
親にできることがあるとすれば、コミュニティの数を増やすきっかけ作りです。子どもの世界が学校一つだけだと、そこでうまくいかなくなったときに、子どもが追いつめられてしまいます。
習い事や塾、ボランティア活動など、その子にとって居場所になりうるようなコミュニティを複数確保してあげることは、孤立させないという点で非常に有効です。
もちろんその後、子どもがそのコミュニティにうまくはまるかどうかは本人次第。「だめだったら他を当たればいい」という柔軟な考え方を示してあげることも必要かと思います。