子どもを追いつめないために
—— 居場所が複数あれば、1か所で辛いことがあってもしのぐことができるということですね。
末木さん:
居場所が複数あることは、「自分がそこでしっかりできている」と感じさせることにもつながります。
子どもや若者の自殺は、いじめが原因のものが多く報道されていますが、実際の統計を見てみると、「勉強ができないこと」を苦にしているものも少なくありません。
勉強は、子どもにとって非常に重要なものなのです。1日の大半を過ごす学校で、勉強し、評価される。それが子どもにとって重要な意味を持つのは当然のこと。
実際には、勉強が苦手でも立派に生きている人はいくらでもいますし、勉強で全てが決まるわけではない。「勉強は大事」という価値観に取りつかれて一部の子たちが追い詰められてしまうのは、心が孤立することにつながるわけです。学校以外の世界を教える意味でも、複数の居場所を持てるようサポートすることは大切だと思います。
—— 親も成績にこだわりすぎないほうがいいのかもしれませんね。
末木さん:
「学校でたくさん友だちを作って、いい成績を取るのが幸せな人生の絶対条件」というような思い込みは捨てて、さまざまな生き方を許容する柔軟さを持つことは、わが子のメンタルヘルスを守るためにも大事です。
…
子どもが自分の人生を肯定するには何より自己肯定感が大切。そしてそれには親が一つの居場所や価値観に拘らず柔軟さを持つことが必要だと教えていただきました。次回は子育て世代の女性が自分の人生を肯定する方法について、引き続き末木さんに伺います。
悩み・困りごとがあるときは…
まもろうよ こころ|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
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PROFILE:末木新(すえき・はじめ)さん
文/鷺島 鈴香 イラスト/小幡彩貴