情報は後追いのひきがねになることも

——自分自身、子どもに自殺について説明できる用意ができているか、正直自信がありません。 まずは情報の接し方について教えてください。

 

末木さん:

「自殺ってなんだろう」と考えるうちはともかくとして、一番心配なのは、子どもが影響を受けて、後追いすることです 。後追いが発生しやすいのは、死後に亡くなった方が非常に美化されケース。通常亡くなった人を悪く言うことは少なく、美化されることはままあります。そういった美化された情報は同情を深め、後追いの誘発要因になります。情報に接する際は、それが中立的・客観的なものかを見極めることが大切です。

 

また、情報に触れる人の属性が近い場合も注意が必要です。例えば若い女性アイドルが亡くなった後に最も影響を受けるのは若い女性だと言われています。そういった意味では、子どもの死について、不用意に子どもに話すことは避けるべきだと思います。

 

後追いを誘発するという意味で特によくないのは、手段が具体的にわかるような情報です。場所や使われた道具に関する詳細な情報については、コントロールして伏せた方がいい。亡くなったことについて話すとしても、どういう方法で亡くなったのかといった具体的な情報に触れさせる必要はありません。

 

情報は至る所に溢れていますから、子どもや自分自身を守るために、有名人の自殺に関する報道が過剰になされている期間は、テレビを消すなどしてそういった情報から距離を置くことも有効な選択肢だと言えます。