コロナ禍はなかなか収束の気配を見せず、私たちの心に暗い影を落としています。
なんとなく不安、心がざらざらする…。気づかないうちに心が疲れている子育て世代が増えているように感じます。あなたは今、つらさを抱えていませんか?パートナーや子どもはどうでしょうか?
心が壊れてしまう前にできることは何か。「現代の生きづらさ」の要因とともに考えます。
前回の「コロナ禍で疲弊した働くママ…メンタル危機から身を守るには」ではコロナ禍における働くママ特有の課題について、自殺予防学の研究者である早稲田大学の上田路子さんに教えていただきました。第3回目は、自殺予防について研究している心理学者の末木新さんにお話を伺います。「自殺って何?」と子どもに聞かれたとき、親はどうすればいいのかについて考えます。
※本記事は自殺をテーマにしております。決して自殺を肯定する形で扱っているものではございませんが、メンタルに影響を与える可能性がございますので、閲覧する際はご注意下さい。
自死の原因は「わからない」ことがほとんど
—— 2020年は、将来のある有名人の自死が相次いで、「いったいなぜ」と大人ですら動揺してしまうことがしばしばありました。
末木さん:
有名人の場合もそうですが、身近なところで自殺が起こったときに、「なぜだろう」と疑問を持つのは自然なことです。ただ、自死の本当の原因というのは、基本的にはわからないものです。本人は亡くなっていますし、遺書があったとしてもそれがすべてを語っているとは限りませんから。不明確だからこそ、残された側は非常につらいのです。
—— 有名人の場合は、だからこそSNSやワイドショーに情報を求めてしまうように思います。
末木さん:
そもそも遺書があるケースというのも少なく、警察の調べでもだいたい2〜3割程度です。有名人であっても誰であってもほとんどのケースで「理由はわからない」という前提に立ち、SNSやワイドショーの情報は推測の域を出ないという冷静な態度でいることが大切です。
—— 有名人の自死について、子どもにはどう伝えたらいいのでしょうか。
末木さん:
ケースバイケースですが、一定の年齢であれば、隠し通すことは不可能だと思います。親が隠しても、情報はネットで検索したらすぐ出てきますから。
隠し通すことはできないのですから、親もこの事象について説明する用意が必要かもしれません。