毎年12月になると発表される「今年の漢字(R)」。

 

漢字検定協会が全国から「今年の世相を漢字1字で表すと?」というお題で募集したアンケートの結果もっとも多かった漢字が選ばれます。

 

京都清水寺の舞台にて、貫主(かんす)が大きな毛筆で今年の漢字を書いて発表する映像は、年末の風物詩ともなっていますよね。

 

そして12月14日、今年の世相をもっとも表した漢字は「密」と発表がありました。新型コロナウイルス流行拡大などでたびたび取り沙汰されたため、納得という人も多いでしょう。

 

しかし、同時期にママだけを対象に実施された別のアンケートでは、なんとまったく違う漢字「幸」が3年連続の1位になっていました。

 

それぞれの結果の違いや理由など、実際にその漢字を選んだ人たちの声をまじえつつ見ていきます。

2020年(令和2年)の漢字、一般公募の結果は「密」

漢字検定協会が発表したデータによると、2020年11月1日から12月6日までの期間、2020年の世相を表す漢字一字とその理由を全国から募集したところ、合計で208,025票の応募があり、1位は「密」 28,401 票(13.65%)となりました。

 

ちなみに2位以下は次の通りです。

 

2位「禍」 (カ/わざわい・まが) 13,655 票(6.56%) 3位 「病」 (ビョウ・ヘイ/やむ・やまい) 10,369 票(4.98%) 4位 「新」 (シン/あたらしい・あらた・にい・さら) 9,882 票(4.75%) 5位 「変」 (ヘン/かわる・かえる) 7,037 票(3.38%) 6位 「家」 (カ・ケ/いえ・や・うち) 6,865 票(3.30%) 7位 「滅」 (メツ・ベツ/ほろびる・ほろぼす) 5,200 票(2.50%) 8位 「菌」 (キン/きのこ・たけ) 5,062 票(2.43%) 9位 「鬼」 (キ/おに) 4,840 票(2.33%)  10位 「疫」  (エキ・ヤク) 4,082 票(1.96%)

 

大ヒットアニメ「鬼滅の刃」の影響か「鬼」が9位にランクインしたものの、それ以外は10位までほぼ新型コロナウイルスの世界的な流行を連想する漢字で埋め尽くされています。

 

中でも1位の「密」を選んだ人たちは、東京都の小池百合子都知事が提唱した感染拡大防止のために避けるべき「3密」、政界での「秘密」が問題になったこと、そして大切な人との関係が密接になり人とのつながりの大切さを再認識する1年だったこと…などの理由からこの漢字を選んだそうです。

AIアプリのユーザーが選んだのは「変」

いっぽう、AIと対話できるスマホアプリ「SELF」のユーザー(10~60代の男女)約6200人に「今年の漢字は?」と問いかけたアンケートでは、以下のような結果になったそうです。

 

1位「変」(297票) 2位「苦」(289票) 3位「病」(222票) 4位「耐」(168票) 5位「辛」(154票) 6位「疲」(153票) 7位「鬱」(143票) 8位「密」(133票) 9位「禍」(132票) 10位「無」(125票)

 

ここでも「密」が8位にランクインしていますが、やはり10位までのほとんどに、コロナ禍で変わってしまった世の中や、生活の変化に苦しみ耐える日々を思い浮かべるような漢字が並んでいます。

ママの選んだ今年の漢字は、意外にも3年連続「幸」だった!

そして、子育て世代向けのアプリ開発などを行う「カラダノート」が、アプリユーザーであるママたちを対象に行っているアンケートで、371人が選んだ「今年の漢字」の1位は、意外なことに3年連続で「幸」(38人)だったそうです。

 

また、2位からも以下のような結果に。

 

2位「変」(22人) 3位「新」(21人) 4位「生」(19人) 5位「家」(18人) 6位「産」(17人) 7位「病」(14人) 8位「禍・忙」(13人) 9位「耐」(12人) 10位「命・籠」(11人)

 

漢字検定協会の募集と少し異なる点として「今年の世相を表す」という指定がなく「今年の漢字」とだけ質問しているため、「自分にとって」の今年を表す漢字が選ばれている…という違いもあるかと思います。

 

しかし、前出の10代~60代男女対象のアンケートでは、特に指定がなくともコロナ禍を連想する漢字ばかりが並んだのに対し、ママ向けアンケートでは「新」「生」「家」「生」「命」など前向きな漢字が半分を占める結果となっています。

 

そこにはやはり、新しい命を育てている「ママ」ならではの価値観や視点が表れているのではないでしょうか。

 

カラダノートによれば、実際にママたちが「幸」を選んだ理由は次のようなものがあったそうです。

 

「子供2人目が産まれたのと、1人目が頑張ってお姉ちゃんをしているのを見て幸せだからです」

 

「初めての我が子を無事出産でき、初孫を両親&義両親に抱っこさせてあげられて幸せな1年だったから」

 

「世界情勢的には大変な一年だったが、個人的には初めての赤ちゃんが無事生まれてくれて、毎日幸せを感じているから」

 

「1月に妊娠発覚、8月末に子供が産まれ、育児をしています。妊娠期間から育児までとても大変だけど毎日幸せでいっぱいだからです!」

 

「6年待ち望んだ妊娠出産…可愛い我が子に会えたから」

おわりに

新型コロナウイルスの流行がおさまり、社会が落ち着くまでにはまだもう少しかかるかもしれません。

 

今回のアンケートに回答したママたちの家庭もおそらくノーダメージというわけではなく、さまざまな影響を受けたり経済的に困ったりしているはず。

 

しかし、多くの子育て中のママやパパは、生活の変化に戸惑いながらも、心まで「禍(わざわい)」を受けてしまうことなく、希望を持ってわが子に向き合っていることがうかがえます。

 

来年の今頃には、もっと安心して子育てができるような世相になり、穏やかで明るい漢字がさらに増えることを祈っています。

 

文/高谷みえこ

参考/公益財団法人 日本漢字能力検定協会 2020 年「今年の漢字(R)」第1位は 「密」https://www.kanken.or.jp/kanji2020/common/data/release_kanji2020.pdf
SELF株式会社「今年の漢字」先行アンケート調査、6,231名が回答。1位の漢字は… https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000018339.html
株式会社カラダノート カラダノート 、ママが選ぶ今年の漢字ランキングを発表!新しくランクインした漢字には「家・病・禍・命・籠」  https://corp.karadanote.jp/archives/3554