共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社(レジサ)では、自分で休日を設定できる「セルフ勤務計画」を導入したことで、営業部門もより計画的に休みを取ることが可能になりました。
現在、女性の営業スタッフも結婚や出産後に働き続けることができる環境が整っているといいますが、そこにはセルフ勤務計画だけでなく、融通の利く様々な制度が導入されたことが大きいといいます。
引き続き、営業部門の劒持さん、渕上さん、山﨑さんと、人事の藤原さんにお話を伺いました。
PROFILE
複数の制度を組み合わせれば、最強に柔軟な働き方ができる
──営業部門では「セルフ勤務計画」と「時差出勤制度」を組み合わせて使っている人が多いと聞きました。
藤原さん:
弊社の定時は9:00〜17:30なのですが、「時差出勤制度」を使えば、出勤時刻を30分単位でずらすことができるんです。1番早くて7:00から勤務することができます。時差出勤する場合は、前日までにシステム上で申告するか、直接上長とコミュニケーションをとって申告します。
劒持さん:
私の場合は、小学生の息子が学校に行くのを見送ってから30分遅く出勤して、18時まで勤務することが多いですね。私にとって一番大事なのは、毎日18時に帰って息子の世話をすることなので、平日はあまり残業ができません。ちょっと大きめのマンションを担当していて、部会とか細かいアポイントが多いので、土日は基本的にフルで勤務しています。平日に残業ができない分、休日出勤して仕事をすることも当然あります。
また、息子の学校行事や面談などで「時間単位有給」(時間休)を使うこともあります。時間休は1時間単位で取得できる制度なのですが、先日も息子の学校で16時から面談があったので、2時間分の時間休をとりました。この日に限らず、「今日はこの後もう仕事しない」と決めて、早めに帰ることもあります。
休みも時差出勤も時間休も使い方は人それぞれですが、私が思う当社の良いところは、自分で働き方を選べるというところ。みんな自分のライフスタイルに合わせてルールを上手に活用して働いている印象ですね。いろいろ融通が利くので、私のように働く母親にとってはおすすめの環境だと思います。
山﨑さん:
私はつい先日、時差出勤と1時間の時間休をとって、退勤時間も早めて、尚且つ在宅勤務をしました。午前中小学校、午後保育園と1日で用事を済ませることができたので、非常に有意義な1日でした。
劒持さん・山﨑さん:
在宅勤務と時差出勤、時間休の組み合わせはママにとっては最強ですよね。子どもとの時間も増えるし、育児のイレギュラーにも対応できちゃいます。
──制度を複数使うことで、うまく子育てとの両立を実現させているんですね。在宅勤務もできるということですが、事前に予約すれば近くの支店で勤務できる「モバワク」という制度もあると聞きました。
藤原さん:
「モバワク」は2016年にスタートした制度なのですが、もともとは営業スタッフが本社で研修を受けた後にPCを使いたいということがありまして、本社にPCを用意して、事前予約制にしたところから始まりました。その後、便利だから各拠点にも設置したということです。
山﨑さん:
営業スタッフには2017年頃からモバイルPCが貸与されたので、あまりこの制度を使っていないイメージですが、事務職にはモバイルPCの貸与がないので「モバワク」を利用する人も結構いますね。本人にとっては通勤が楽になるというメリットがありますが、例えば自分よりもベテラン社員や専門の社員が来てくれると、直接いろいろ聞けるので、来てもらった側も助かるんです。 モバワクで来た人たちと「久しぶり〜」なんて話しながら一緒にランチして、情報交換できるというのもプラスアルファのメリットです。お互いママだと平日も土日もスケジュールを合わせるのが難しかったりするので、モバワクついでに子育ての相談などもできるのはいいですね。
藤原さん:
まだ完全にペーパーレス化できていないので、モバワクをしていると進まない業務もあるというのが現在の課題ではありますね。
劒持さん:
社内では、それを是正するために現在ソフト開発などITを推進しています。将来的には解決されると期待しています。現在は、それぞれの業務に合わせて、日によって在宅勤務やモバワク、出勤など選びながら勤務しています。
ボトムアップを歓迎する風土があるからこそ改革が進む
──次々と制度ができて、働くママにも優しい環境という印象です。
劒持さん:
ここ3年くらいで会社全体が本当に変わったなって思います。会社としては、2013年頃からダイバーシティの推進を意識するようになったようで、何度か女性総合職が集められて座談会をして、意見や要望をまとめて役員に答申する機会などもありました。そこで女性の意見を色々と取り入れてもらったんです。当社には、経営陣が私たちの声を聞いてくれる、ボトムアップしやすい環境があると思います。
藤原さん:
入社2〜3年の社員を集めて、会社の未来を想像して具現化する「未来創造プロジェクト」というものもあります。会社の将来を見据えて経営陣に「こんな制度があったらいい」「こういう会社にしていきたい」ということを答申するんです。その中でセルフ勤務計画の土台となる案も出されていたと思います。
劒持さん:
以前は結婚・出産を機に辞めてしまう人が多かったのですが、最近は産休・育休を取得する営業スタッフも増えてきて、産後も働ける環境が整っています。昔のイメージのまま「女性は働き続けることはできない」と思っている人も男女ともにまだいると思うのですが、私自身が働くママとしてこの会社に残り続けることで、社内のイメージも変えていけたらと思っています。
──男性の育児休業取得についても積極的に取り組みを行なっていると聞きました。
藤原さん:
共働き家庭の増加によって、男性の育休取得ニーズが高まっていることを受け、当社でも育休を推進しています。昨年度末には育休を2週間以上取得する社員(男女)に「育児エプロン」をプレゼントするという制度もできました。
──渕上さんは昨年、育休を取得されたそうですが、いかがでしたか?
渕上さん:
私は、妻が退院するタイミングに合わせて1ヶ月の育休をとりました。もともとは仕事の関係もあって2週間くらいが限界かなと思っていたのですが、周りのサポートもあって1ヶ月とることができました。子どもができたタイミングで育休をとりたいと思っていたので、取得して本当によかったです。
やはり出産直後は奥さんの体力も落ちていて、一番大変な時期だと思うんです。その時期に負担を分散できるのはいいですよね。あとはその後の育児参加も、スタートラインが同じ方がお互いの子育てに関わる心理的ハードルが低くなると思うんです。どうしても夫が妻に教わってからやることになってしまうと、奥さんとしては教えないとできないならちょっとめんどくさいってなると思うし、夫は教わるのがちょっとなって足踏みしてしまう。最初から育児に関わることで、一歩が踏み出しやすい。そこのメリットは大きかったなって思います。
山﨑さん:
それって、今後共働きしていく上で絶対いい関係を築けると思います!
藤原さん:
今後も、社内の様々な声を受け止めながら、課題に対して真摯に向き合って改善していきたいと思います。
…
きちんと休むための「セルフ勤務計画」と、出勤日に柔軟に時間と場所を選べる様々な制度。これらの組み合わせによって生まれる物理的なメリットと、精神的なメリットは従業員にとって大きな効果が出ていると感じました。
いまある課題に真摯に向き合い、上層部も人事も従業員も一体となって改革に取り組む姿勢が大切なのではないでしょうか。
取材・文/田川志乃 取材協力/三井不動産レジデンシャルサービス株式会社