イライラしている人や怒っている人が近くにいると、すぐ動揺してしまう。騒音やまぶしい光が苦手。他人に深く共感しすぎてしまう。なぜだか軽く見られてマウントを取られてしまう…。
もしもそんな悩みを抱えているのなら、それはあなたが「敏感すぎる」HSP気質の持ち主だからかもしれません。
HSPは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン:非常に繊細な人)の略で、心理学者のエレイン・N・アーロン先生によって1996年に提唱された概念です。
HSPの自覚がある、もしくは「私はHSPかもしれない」と感じているママが、自分のよいところを肯定しながら、周囲の人々と向き合えっていくための心持ちを専門家に伺います。
子どもに感情を爆発させてしまい自己嫌悪に…
子育てをしていると、子どもの言動にイライラしたり、つい激しく叱ってしまうこともありますよね。
出かけるから早く着替えるようにと言ったのに、30分後もパジャマ姿のままでいる子どもの姿を見て、「もう今日はお出かけしない!」と大声で怒鳴ってしまい、その後、我に返って一気に自己嫌悪になってしまったり。さらにHSP気質の人は、「怒鳴る必要なんかなかった」「もっと自分が早く起きればよかっただけなのに…」と深く悩んでしまいがちです。
敏感で繊細なHSP気質の人は、どうすれば子どもの言動にイライラせずに育児ができるようになるのでしょうか。十勝むつみのクリニック院長・長沼睦雄さんに聞きました。
HSPの思考は親のトラウマも影響大
子どもとの関係について悩んだときは、まず自分と親との関係について振り返ってみてください。
あなたが選んだ進路、就いた職業、結婚相手に求めた条件、居住環境、子育ての基準…それらは本当に「あなた自身」が選択した結果でしたか?
どこかに、親、おそらくは「母親の価値観」が紛れ込んでいませんか?
実は、HSP気質の女性の場合、幼少期に高圧的な母親に支配されていた過去を持つ人が少なくありません。
他人の感情を察することに長けたHSP気質の子どもは、母親の感情の動きにも人一倍敏感です。「こうすれば怒られる」「これをしたら機嫌がよくなる」ということを母親の顔色や態度から察知するため、「できるだけ怒られないように、母親が望む選択に従う」という行動を本能的に選び取ってしまうのです。
ただ、そういった「母親の価値観」を基準に選択を続け、自分の本心とはかけ離れた行動を取り続けると、水面下のストレスはたまり続けるいっぽうです。その結果、「大人になっても自分の本当にやりたいことがわからない」と悩む人も多々見受けられます。
HSP気質を持つ女性にとって、「母親からの脱却」は実は大きなテーマです。
「母親には逆らわない/逆らえない娘である自分」の原型が幼少期にしっかりとできているため、大人になり、結婚をして自分が親になっても、その型からなかなか抜け出せないのです。