グチすら言わない良き夫に抱いた違和感の正体
そういう人が家庭では妻を相手にストレス発散するケースもありますが、夫からひどいことを言われたのは過去に覚えがない、とエリカさんは言います。
「月に1回くらいかなぁ、趣味のフットサルをやっています。その仲間たちと遊んでくることもありますが、仕事が忙しくて娘たちと触れあっていない時期だと、フットサルに上の娘を連れていくこともあるんです。彼女はサッカーに興味があるみたいで。そういうときは、帰りに私と下の娘も合流して外食したりね」
つねに家族思いで、パートに出ているエリカさんには「どう?仕事、うまくいっている?」と尋ねてもくれます。そして、夫からグチを聞いたことさえないそうです。でも、そう話すエリカさんの表情が暗くなりました。
「ずっと、こんないい人と結婚した私は幸せだと思っていたんです。でも今は、“幸せだと思わなければいけない”気がしています。意味なく夫にムカつくことがあるんですよ」
自分の両親さえ夫に夢中「30分でも会いたい」
年に一度、夫はエリカさんの両親も誘って旅行をします。
「うちの両親は夫の大ファン。だから誘うといそいそとやってくる。私の実家がある地域に、夫が出張すると、必ずといっていいほど時間を作って会いにくる。ほんの30分でも、『顔を見に来ただけで、長くいられなくてごめんなさい』と帰っていくそうです」
全面的な信頼感は、結婚当初からまったく変わっていませんが、ときどきエリカさんは心がモヤモヤするそうです。
「夫と自分を比べてしまうこともあります。夫は大らかで寛容だけど、私は近所の奥さんにイライラしたり、感情的に子どもを怒ったりしてしまう。明らかに人としての器が小さい。こんなによくできた夫に、私のような妻は不釣り合いなのではないかと思うこともあります」
それが高じて、「私はここにいていい存在なのかしら…」と考え込んでしまうときもあるそうです。少し落ち込んでいると、夫がいち早く察して「疲れてるんじゃない?」と声をかけてくれますが、それさえうっとうしいと感じ、そう感じた自分を嫌悪するという悪循環に陥ります。