全国各地のスタッフを結ぶ「社内アプリ」が、円滑なコミュニケーションの鍵!
── アルバイトを含めると社員数は18,000人とのことですが、情報の共有やコミュニケーションはどのようにしているのですか?
佐田さん:
社員用SNS「ADJST(アジャスト)」を各自の携帯電話にダウンロードしてもらい、そのツールを活用して情報を共有しています。パソコンの設置は店舗ごとに基本的に1台のみで、以前はスタッフ全員に情報を伝えるのが難しかったのですが、2018年にツールを開発してからは、新しい制度内容や社内公募の告知、会長メッセージなどを伝達しやすくなりました。
各スタッフが自由にチャンネルを登録することもでき、「おうちごはん」や「コスメ研究部」などの趣味やプライベートのコミュニティもあります。興味があるコミュニティに参加して、社員同士のコミュニケーションの場としても活用してもらっています。
── 社内SNSを使うことで、全国各地、距離はあってもリアルに繋がることができるのですね。こういったツールの開発など、IT面での課題はありますか?
佐田さん:
コロナ禍で在宅ワークが増え、Zoomなどのインフラを急ピッチに整えつつ、ITに慣れていない社員のフォローも必要になってきました。
また、テクノロジー活用の面での人材確保も今後の課題です。これからの時代、ファッション業界でもシステムの構築やオンライン活用などのIT強化が不可欠。しかしファッション業界に参加してくれるエンジニアが少ないのが現状です。
今年10月、他社で勤務しているエンジニアとアダストリアが副業としての業務委託契約を結ぶ「服業プロジェクト」をスタートさせました。「週5日フルタイム」で勤務するのではなく、「本業の休日や空いた時間」で当社の仕事を手伝いませんか?と呼びかけています。
── 兼業や副業OKの企業が増えてきた今の時代ならではのプロジェクトですね。
佐田さん:
働く「場所」についても今後の課題です。2017年に本部が渋谷のヒカリエに移動してきたのですが、今は在宅勤務という新しい働き方も生まれたので、オフィスの在り方を考える必要があります。総務部を中心にプロジェクトチームを発足させ、「今後、オフィスは必要なのか?」「オフィスに来て働く意味は何か?」という視点で話し合っています。
当社では「Play fashion!(プレイ・ファッション)」をミッションとして掲げていて、一人ひとりの毎日に「もっと楽しい」選択肢を与えられることをヴィジョンにしています。服だけでなくスポーツやアート、カルチャー、食を含めて、人々の生活を豊かにしていきたい。そのために私たち従業員が人生を楽しんで「Play fashion!」を実感できていなければいけません。そのための風土づくりも継続的に取り組んでいきたいです。
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「今、自分にできることは何か」を主体的に考えて動くスタッフが育つのは、SNSや「スタッフボード」のようなスタッフの「頑張り」を受け止め、認めてくれる体制があるからこそ。各店舗と本部の距離を感じさせないIT面での工夫も会社への愛着につながっているのでしょう。大企業ならではの課題を着実にクリアしていくアダストリアの今後の展開にも期待が高まります。
取材・文/佐藤有香 撮影/緒方佳子