オフィスはどうなる?これからの仕事で求められること

──テレワークを体験することで、時間の価値などメリットを実感した人は多かったですね。

 

白河さん:

そうですね、時間の使い方に伴い意識も大きく変わりました。たとえば講演やセミナーは会場に全員が集まり集中して「聴く」ものでしたが、今は別の仕事をしながらの耳での受講も一般的になっています。場所に縛られないと、時間をどう使うかの選択肢が増えた分、時間の価値が何倍にもインフレーションを起こしました。

 

また、自宅でなら休みながら仕事を進められるため、体調不良で休む人が減ったとの話もよく聞きます。通勤時間がなくなることで、時短からフルタイムに戻すママ社員も増えました。こうした面では働きやすくなったと言えるでしょう。

 

──「オフィスでなくても仕事はできる」とテレワークを継続する企業、「やはり対面でなければできない仕事もある」と出社を促す企業、そしてどちらがベストなのか迷っている企業も見られます。

 

白河さん:

オフィスの役割も、改めて見直されてきています。自宅で誰とも交流しないことで孤独感が高まる人、顔を合わせないマネジメントが不安な上司など、これまでのようにオフィスに出社していたら何事もなくスムーズにできていたことが、ここにきて問題となっています。テレワークは過去の信頼関係で成り立つ部分も多いので、積極的に色々なコミュニティに参加する、新人や会ったことのない人には丁寧なケアをすることも必要となってくるでしょう。

 

またテレワーカーと対面職が混在する企業では、仕事内容のためどうしても出社を必要とする職業や、社会にとって必要不可欠なエッセンシャルワーカーへ、心理的なケアや危険手当などの経済的な対応をすることも求められています。

 

──業績悪化により派遣社員で職を失った、もしくは出勤日が減ってほとんど仕事がなくなってしまった女性も多いです。こうした人たちへのアドバイスはありますか?

 

白河さん:

地方では、最低賃金の仕事に従事している女性も多いです。社会にとって必要な仕事ならば報われる賃金体系にすることが企業の責務ですが、対面の仕事はビジネスモデルの転換も起こっていくでしょう。今後非対面でない仕事に従事するのなら、ITの知識は必須です。行政などの再就職支援講座も行われていますし、空いた時間を活かしてスキルアップに勤しむのも一案です。

 

もし仕事を失くして金銭的に困窮している、シングルマザーで思うように働けないなど生活苦の場合は、ためらわずに行政支援も利用してください。ギリギリまで耐えてしまう人も多いのですが、まずは心身共にきちんと働ける体制を整えることが重要です。

 

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