共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

自治体に特化したサービスを展開するホープ。たとえば、自治体が所有するスペース(広報紙・WEBページ・給与明細・庁舎内)に広告枠を設けることで自治体の財源確保を支援するなど、他にはない目の付け所を持つサービスです。自治体を支える事業と同じように、社員をサポートする制度がここにあります。

 

それは妊娠中も含む子育て女性に特別有給休暇券を支給する「女性さぽーと」制度。株式会社ホープ社長室広報の豊田利恵さんに話を伺いました。

妊娠中や育児のための有給休暇券「女性さぽーと」

制度名称:「女性さぽーと」制度 導入開始日:2010年頃から実施中 対象者:妊娠中から6歳以下の子どもを育児中の女性正社員 今までに利用した人数:  4名(対象者の利用率100%)

 

 

株式会社ホープ 社長室 広報・IR課 豊田利恵さん

2005年にM&A仲介会社の株式会社日本M&Aセンターに入社、以来15年間、東京本社営業企画部で広報・企画・IR業務を幅広く担当。2020年、自治体向けサービスを展開する株式会社ホープ(福岡市)に入社し、社長室にて広報・IR業務を担当する。

 

 

──株式会社ホープには、働くママを応援する「女性さぽーと」という制度があると伺いました。詳しく教えてください。

 

豊田さん(ホープ):

「女性さぽーと」制度は、女性正社員を対象に、出産、育児に際して特別な有給休暇券を付与する制度です。妊娠期には4時間の有給休暇券を10枚、育児期には4時間の有給休暇券が1歳未満で20枚、1~2歳で15枚、2~3歳で10枚、2時間の有給休暇券が3~6歳で20枚付与されます。

 

──2時間ごとに使える券なのですね。なぜ有給休暇券という形なのでしょうか。

 

豊田さん(ホープ):

妊娠、出産すると女性は自身や子どもの突発的な体調不良、行政手続き、申請など所用が増えます。例えば用事さえ終われば勤務できるのに、半日休暇、時間によっては終日休暇を取らなければならないとなると、働きたいのに働けない状況が生まれてしまいます。また、まとまった有給を取りたい時期には有給が足りなくなってしまうこともあります。細切れの時間単位で有給が取れるのは実は使い勝手が良いことなんです。

 

 

女性社員が増えたことで生まれた制度

──子どもの看病に有給を使い果たしてしまって、旅行に行けない!なんてことが防げるんですね。どんな経緯で「女性さぽーと」制度は生まれたのでしょうか。

 

豊田さん(ホープ):

始まりは、約10年前の社員合宿で出された案でした。当時、新卒の社員数が増えたんですね。そのうちの半分は女性です。男性社員が多かったそれまでと比べて、「このままではいけない」という課題意識が生まれてこの制度につながりました。

 

──女性社員が増えることで感じていた課題とは、何でしょうか。

 

豊田さん(ホープ):

新卒採用によって女性比率が高まったことで、20代前半の未婚女性という、これから結婚出産を迎える可能性の高い社員が多くなりました。そこでサポート体制を整えて、普段から安心して働いてもらう必要があると考えたんです。「女性さぽーと」制度を導入してからは、女性のライフスタイルの変化とともに利用する人が増え、長く働いてくれる人も増えてきました。

 

──効果が表れているんですね。制度を利用した社員の声も聞かせてください。

 

豊田さん(ホープ):

「子どもが発病しても、『女性さぽーと』制度のおかげで有給休暇を取得しなくてもすむし、共働き家庭としてはとても安心感を持てる」、「予防接種など半日もかからない用事には、2時間単位の有給券が無駄なく利用できる」などの声が上がっています。他にも「妊娠中の定期健診時に助かった」など、妊娠中の社員も「女性さぽーと」制度を利用しています。

 

「緊急の呼び出しがあっても、上司や同僚に嫌な顔をされたことがないため、すべての社員から子育て家庭を応援してもらえていると感じる」という意見もありました。

 

──大事な仕事を中断するのはただでさえ心苦しいですよね。周りに子育てを応援してもらえるのは大きな心の支えですね。

 

豊田さん(ホープ):

当社には「女性さぽーと」制度以外にも、オムツ手当

(※1)

やクリスマスプレゼント手当

(※2)

など、子育て社員を応援する福利厚生制度もあります。そういった制度が、子育て家庭を応援するという社員の意識改革や環境づくりへも繋がっていると感じています。

(※1) 2歳以下の子どもをもつ家庭へ毎月オムツを支給する制度 (※2) 満5歳以下の子どもがいる社員に、クリスマスプレゼント費用として1人5000円を支給する制度

 

 

──子どもがまだ幼い間はオムツ代は軽視できない出費ですよね。こちらは女性限定ではなく、子育て社員全員が対象なんですね。では、「女性さぽーと」制度における今後の課題は何でしょうか。

 

豊田さん(ホープ):

当社は平均年齢が30歳とまだ若く、未婚者が大半です。これまで実際に出産、育児を迎えた女性社員が少なく、「女性さぽーと」制度の認知度がまだ低いことは課題だと感じています。制度の対象者の利用率は100%ですが、社員数は4名とまだ少ないです。

 

──認知度を上げるためにはどんな施策が必要だと考えていますか?

 

豊田さん(ホープ):

サポート体制を整えるだけではなく、社員への周知や上司の協力体制をさらに強化することも大事です。今後も、出産・育児を迎えるような社員に安心して働いてもらえる環境をつくることが必要だと考えています。

 

また、育児に取り組む男性社員も増えてきているので、女性だけでなく男性の育児も応援できるような風土づくりを強化していきたいです。

 

 

2時間単位で利用できる育児用の特別有給券は、予防接種や役所での手続きなどが多い子育て家庭の大きな味方です。平均年齢30歳と社員が若く、結婚や出産などのライフイベントはこれからという社員が多いホープ。若いからこそ、これからも、新たな視点で自治体を支えていくのではないでしょうか。

 

【会社概要】

社名:株式会社ホープ(福岡市)

従業員数:146名

創業年月:2005年2月

業種 : 自治体に特化したサービスを展開

事業内容: 広告事業、エネルギー事業、メディア事業

 

取材・文/川口香織(mugichocolate株式会社)