詰め込まず、弱点を見極めることからスタート

──受験塾には行かず、親が教えるというスタイルをとったのはなぜですか?時間がないからこそ、焦ってどこかに入れたくなりそうなんですが…。

 

細川さん:

それまで補習塾には通っていて、勉強は嫌いと言う割に、学校の成績は70点や80点くらい取れていました。受験すると補習塾の先生に相談したところ、うちでは受験対策はできないので、すぐ転塾してくださいと勧められました。

 

でも、いまからスパルタな塾に入れても授業についていけないだろうし、「僕はできない」と萎縮してしまうことは避けたいと思っていたら、ツレが「大学生のときに中学生の家庭教師をしたことがあるから、僕が教えるよ」と申し出てくれて。


──何か秘策があったんですか?

 

細川さん:

最初の模試まで、過去問を見せるだけで具体的には教えなかったんです。なにせそれまで試験とは無縁の生活だったので、いきなり「試験とはこういうものだ、こう解くんだ」と頭ごなしに教えて怖がらせてはいけないなと。過去問を渡して、自分だったらどうやって解く?と、好きなように取り組ませました。

 

ツレは、「この時点でいきなり詰め込むと逆効果。息子は何ができて、何ができないのかを見極めることが大事だ」と思ったようです。


──そして最初に受けた模試ではなんと、合格率0%でした。

 

細川さん:

0%なんて出るんだ、とショックでした。最初私は“合格率”の意味をよく分かっていなかったので、「受けられる学校がないってこと?」と思ってしまって…。でも、息子は自分のやるべきことが分かったんでしょうね。ほとんど白紙で出したようでしたので、答えを埋めることができれば、点数は出ると気づいたんだと思います。

 

それから一緒に問題を解くうちに、ツレも息子本人も何ができて、何ができないのか分かってきたので、弱い部分を徹底的に強化しました。


──家で教えることに限界も感じたとか。どんなところに限界を感じましたか。

 

細川さん:

仲間やライバルがいないことですね。塾に行けば、順位が出たり友達と切磋琢磨するなかで受験に向かっていけますが、その感覚を経験できないので、言葉で説明しても、いまいち受験の意味さえも理解できていないようでした。

 

そこでツレがいろいろと調べて『二月の勝者・絶対合格の教室』という漫画を揃えました。漫画好きな子なので、理解しやすいんじゃないかと。親子ともに読破して、受験生としての自覚を持つようになったと思います。この漫画なくして合格はできなかったかもしれません。