中学受験を志望する多くの場合、小学4年生頃から受験のための専用塾に通うことが多いでしょう。
しかし、今回お話を伺った『ツレがうつになりまして。』を描いたことでも知られる漫画家・細川貂々さんの長男は、受験塾に通わずに合格を勝ちとりました。しかも受験勉強のスタートは小学6年生の夏休み明け。
最初に受けた模擬試験では合格率0%という結果だったにもかかわらず、最終的には難関国立大学の合格者輩出を目標とする某私立中学の特進コースに合格しました。
漫画とゲーム漬けの日々からの方向転換、約4カ月という超短期決戦で勝利できたのは何故なのか。そこには、受験だけに限らず、子育てに役立てたいヒントがいくつもありました。
受験を志望したのは「組体操したくない」から!?
──小6の夏休み明け、息子さんが急に「受験したい」と衝撃の告白をしてきたとき、どう思いましたか?
細川さん:
いやぁ、もうびっくりですよ。なんでいま?って(苦笑)。息子が通っていた公立小学校は、中学受験する子がクラスの半分くらいいるような地域で。私も周りのお友達から「受験するなら小4くらいから塾に行かなきゃだめよ」と聞いていたので、4年生、5年生のときに「受験する?」って息子の意志は確認していたんです。6年生の1学期も、夏休み前にも。それでも「しない」と即答だったので、じゃぁ公立中学だね、と思っていたんですけど。
──それまで漫画とゲーム三昧だったのに、何がきっかけで受験する気になったんでしょう?
細川さん:
事の発端は「運動会の組体操をしたくない」問題でした。夏休みが明けたら、組体操の練習が始まって。どうしてもしたくないと言い出したんです。先生も含めて話し合いをするなかで「公立中学の体育祭でも組体操をする」ことを知り、「それは嫌だ、受験する」という流れに。
──私だったら「みんなやってるんだから」と無理にでも組体操をさせていたかもしれませんし、受験も、「いまからやっても無理よ」と言って相手にしないかも。そこはすんなりと受け入れられたんですか?
細川さん:
嫌な理由を聞くと、組体操は危ないだけでおもしろくない、と言うんです。「先生は“ちゃんとやれー!”とか大声で叫んでばかりで、軍隊みたいに動かないといけない」と。しかも練習中に熱中症になって救急車で運ばれた子が出てきたり、近隣市の市長が「組体操は中止すべきだ」と話すニュースを見たりして恐怖心にも拍車がかかったようです。
意志は揺るがなかったし、息子の言い分に納得できる点もあったので、尊重しました。
──そんなに嫌だったんですね。とはいえ、すぐに切り替えて受験勉強モードに入れましたか?
細川さん:
わたしもツレ(夫)も中学受験を経験していないので、受験に詳しいママ友に相談すると、学校見学に行って志望校を決めなきゃ、と。受験組が多い地域に住んでいるので、受験するならここ、みたいな候補はなんとなく頭の片隅にありました。
たまたまその週に学園祭があったので見学に行ったんですね。学校の様子を実際に見たことで、息子も俄然やる気になり、それまで漫画とゲームに支配された日々だったのに、机に向かって勉強しはじめたんです。