共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。
社会的課題の解決を目的とした活動を公式に認める「地域貢献応援制度」、民間から副業人材を公募するなど、役所でありながら積極的に働き方改革を推し進める神戸市役所。ただし、副業や働き方改革への向き合い方は民間企業とは違った視点で行われています。
そこで
地域貢献応援制度を担当している泉辰哉さんと、現在「副業人材」募集に関わる山本のぞみさんに、神戸市役所の働き方改革の狙いと挑戦する理由について伺いました。
PROFILE 泉辰哉さん
PROFILE 山本のぞみさん
働きやすい環境を作ることで、仕事へのモチベーションを上げる
──神戸市役所は、公務員の副業解禁など職員の働き方を変える新しい取り組みに挑戦されています。役所の働き方改革はとても珍しいと思うのですが、こうした活動に至った背景を教えてください。
泉さん:
元々神戸市では、民間人材を任期付職員などで任用する「ジョブ型雇用」を行ってきました。たとえばデジタル化専門官など、社会情勢や市民ニーズの変化に伴って専門的知識を必要とするポジションが必要になった際に、その都度適切な人材を募集するものです。
任期付職員の任期は最長5年となりますがその他の待遇面は正規職員とほぼ同じで、神戸市職員では持っていない民間での経験やノウハウを持つ方々に力を貸していただくことを目的としています。2010年に広報専門官を募集したのが始まりで、20年10月1日時点で65人の方に活躍してもらっています。
──なるほど。外部人材登用するハードルが、それほど高くなかったのですね。
泉さん:
そうですね。こうした背景があるので、新しいことへの抵抗はそこまで大きくないと思います。15年から「在宅勤務制度」がありましたし、17年に働き方改革を加速させてからは「フレックスタイム制度」や仕事の見直しとしてペーパーレス化など、多様で柔軟な働き方を模索してきました。55歳以上の職員対象の「高齢者部分休業制度」も、勤務体系を選べるようにして自身のセカンドキャリアを考えてもらう制度です。
職員にとって働きやすい環境を作れば仕事へのモチベーションが上がり、ひいては市民サービスにも反映されます。本市の「地域貢献応援制度」については「副業解禁」と取り上げられることが多いのですが、実際にはあくまで市の職員が地域活動に参画するのを後押しする制度として導入したものです。民間企業でいう「副業」や、現在募集中の「副業人材」とはいささか性質が異なります。
──民間企業との考え方の違いは興味深いですね。ぜひ詳しくお話を聞かせてください。