共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

入力レスでどこでも作業可能な経費精算クラウド「Concur Expense」を提供している株式会社コンカー。経費精算のプロセスの自動化を通じて業務におけるムダを省き効率化してくれるという多忙なビジネスパーソンの強い味方です。そんなコンカーには、社員の生産性を高める革新的な制度があります。

 

それは、社員の育児休暇取得をきっかけに生まれた「100時間勤務制度」。さらに最大50%までの補助が支給される「ベビーシッター補助金」。働きやすい職場づくりに携わる管理部の北川さんにお話を伺いました。

コアタイムなし。自由度を高くした「100時間勤務制度」

制度名称:100時間勤務制度

導入開始日: 2016年から実施中

対象者:社員

 

制度名称:ベビーシッター補助金

導入開始日:2016年から実施中

対象者:子育て中の社員

 

 

株式会社コンカー  管理部 北川 かおりさん

2013年、株式会社コンカーに管理部派遣スタッフとして入社。バックオフィス業務を担当。その後、契約社員を経て2017年、正社員に転換。社員のフォローアップインタビュー(面談)を担当し、社員のメンタル面のケアを中心にサポートを行う。社員のPulse check※を開始するなど、会社全体状況のモニタリングと施策に携わる。2019年 EAPメンタルヘルスカウンセラー資格取得。2020年 ピープルサクセス&HRオペレーションズチームが発足し、マネージャーに就任。

 

※Pulse Checkとは…四半期に1回、社員のメンタルチェックとして行われるアンケート調査。質問の内容は、「仕事量は適切ですか?」「上司との雰囲気はどうですか?」など。

 

 

——業務効率化をサービスを通して追求するコンカーでは、「100時間勤務」というユニークな制度があるそうですね。なかなかない制度だと思いますが、どんな内容なのでしょうか。

 

北川さん(コンカー):

1か月100時間以上の勤務時間さえ守れば場所や時間帯を限定せず働くことができる制度です。フレックス制度のように「コアタイム」はありません。

 

——場所や時間帯に縛られずに働けるとなると、たとえば就業時間よりも早い時間帯に自宅で仕事をすることも可能なのですね。

 

北川さん(コンカー):

その通りです。働く時間帯は社員一人ひとりの裁量に任せています。

 

当社では2016年に社員が初めて育児休暇を取得しました。それをきっかけに、出産・育児から復帰しやすく、働きやすい環境について、社員にヒアリングを行ったんです。その結果を考慮して、子育て中の社員にとっても時間や場所に融通が利きやすい「100時間勤務」の制度を導入することになりました。

 

目安は1日5時間程度を目安にしています。月給制の時短勤務は最短6時間なので、それより少ない時間で時間帯も柔軟に働きたい方のために、1日の労働時間目安が5時間になるように設定しました。

 

まず前提として、「事業の急速な成長を支えるには、女性の活躍が不可欠」という社長の考えがあります。様々なライフステージにおいて、女性社員が安心して働けるよう、人事制度だけでなく、社員同士が信頼し、助け合えるような文化の醸成に会社全体で取り組んでいきたい、という思いからこの制度を導入しました。

 

100時間勤務制度は、実際の利用状況は決して多くないのですが、いろいろな選択肢があるということが大事かと思っています。特に、復職後がイメージしづらい出産前の社員にとっての安心材料になるのではと思います。

 

今は一時的に利用している社員がいない状況ですが、必要に応じて臨機応変に利用できるのもメリットだと思います。そのほか、時間短縮勤務と在宅勤務を掛け合わせながら、誰もが復職しやすく、働きやすい環境を整えていきたいと考えています。

女性社員の経験をもとに生まれた「ベビーシッター補助金」制度

——とても自由度が高い環境をつくられているのですね。ほかにも子育て世帯には「ベビーシッター補助金」制度があると聞きました。どんな場合が補助の対象になるのでしょうか。

 

北川さん(コンカー):

子育て中の社員を対象に、ベビーシッターの費用を25~50%補助しています。具体的には、次のような場合に支給しています。

 

  • 保育園に入れず、育児休暇から復帰するためにシッターを利用する場合
  • 病児保育としてシッターを利用する場合
  • 残業をするためにシッターを利用する場合

 

導入のきっかけは、ある育児休暇中の社員の声でした。職場復帰をするためにベビーシッターをほぼ毎日フルタイムで利用することを決めた社員がいたんです。そのことを社長が耳にして、その後、社員の負担を軽減させるために導入されました。

 

 

——社長が社員のためを想って作られた制度なのですね。それは社員にとっても安心なのではないでしょうか。それにしてもフルタイム勤務の50%補助は大きいですね。

 

北川さん(コンカー):

はい。利用している社員からは「経済的にとてもありがたい」、「気軽にベビーシッターを利用できるようになって、仕事と育児の両立がしやすくなった」という声をもらっています。

 

また、別の社員は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言中も保育園が休園になったそうなのですが、ベビーシッターに依頼したことで、約1か月に及ぶ休園中の危機を乗り越えることができたそうです。

 

——特に緊急事態宣言中はベビーシッターの存在が大きかったのですね。この春には「100時間勤務制度」と「ベビーシッター補助金」以外にも新しく導入された制度があるそうですね。

 

北川さん(コンカー):

はい。現在、新型コロナウイルス拡大により、コンカーでは原則在宅勤務となっています。通勤費の支給を停止し、代わりに月1万円の「リモートワーク手当」を支給しています。インターネット回線やPCモニターなど在宅勤務の環境整備に充ててもらっています。

 

——環境が整うと在宅勤務の業務効率が上がりますね。今後はどのようなことが課題になるとお考えでしょうか?

 

北川さん(コンカー):

新型コロナウイルス感染予防対策として始まった在宅ワークですが、より柔軟な働き方を検討するきっかけとなりました。働きがいや業務効率、社内コミュニケーションの質を保ちつつ、柔軟な働き方ができる制度と仕組みづくりを進めています。

 

たとえば、今年の夏は夏季休暇の取得に合わせて、休暇で訪れた旅行先からでも仕事可能なワーケーションを取り入れました。今後は、“Work From Anywhere”の制度化を進めることで、よりよい人材確保も可能になると考えています。

 

また、社員が孤立することのないよう、社内コミュニケーションの活性化を図っています。在宅ワーク開始後は、新たなリモートでの取り組みが始まり、週1回の全社員参加型「絆ミーティング」、各部門紹介「“俺の話を聞け”シリーズ」などの施策を展開中です。これからも工夫をしながら、部署内にとどまらない多面的なコミュニケーションが生まれるようにしていきたいです。

 

 

働く時間と場所を自由に選べる「100時間勤務制度」は育児休暇を取得した社員をきっかけに生まれました。また「ベビーシッター補助金」制度は、職場復帰のためにベビーシッターを利用する社員がいることを社長が知り、導入が決まりました。

 

こんなふうに社員一人ひとりの声が経営者に届きやすいように風通しを良くしている文化が伺える取材でした。社内の働きやすさがこれからより進化することで、コンカーが届けるサービスはビジネスパーソンの仕事にも細やかな変化を与えていくのでしょう。



【会社概要】

社名:株式会社コンカー

従業員数:305名(契約社員・派遣・インターン含む)

設立年月日:2010年10月

業種:出張・経費管理クラウド

事業内容:出張・経費管理、請求書管理クラウドサービスの提供

 

取材・文/川口香織(mugichocolate株式会社)