共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

入社した会社がとても忙しくこのままじゃ恋愛、ましてや結婚して子どもを持つなんて絶対に無理! そんな社員の嘆きが忘れられなかった、と語るのは株式会社ベアーズの副社長・高橋ゆきさん。それ以来「社員が働いて幸せになれるか」を1番に考えてきたそうです。今回は副社長自ら合コンをセッティングしていた秘話なども伺いました。

ベアーズの「男女問わず育児休暇取得100%」

制度名称:男女問わず育児休暇取得100% 導入開始日: 2010年くらいから実施中 対象者:子育て中の社員 今までに利用した人数:約35名

 

株式会社ベアーズ

副社長 高橋ゆき さん

「男女問わず育児休暇取得100%」は働いて幸せになれる制度

──「男女問わず育児休暇取得100%」とはどういった制度でしょうか?

 

高橋さん:

本人の希望があれば育児休暇を取得できる制度です。しかしただ休めるだけではなく、100%復帰できること、そして復帰後も働いて幸せになれることが大切です。育児休暇後のサポートも含めて「男女問わず育児休暇取得100%」制度と呼んでいいと思っています。

 

──「働いて幸せになれる」というと?

 

高橋さん:

人生において、仕事をしている時間は多くを占めますよね。だからこそ仕事をしている時間を幸せだと感じて欲しいのです。ご自身が仕事に対して社会的意義を感じていて、仕事が好き、職場が好き、そして仲間が好きと思えるかどうかが幸せに繋がります。

 

それに本来働くことは健康的で幸せなことのはずなんですよ。仕事もプライベートも充実=幸せではなく、仕事をしている時間が幸せであることが重要なんです。よって弊社では「働いて幸せになれる」がスローガンになっています。

 

──なるほど、「仕事をしている時間そのものが幸せである」ということを意識している企業は意外と少ないのかもしれません。働いて幸せになるということを実現するために社内メンバーが心がけていることはありますか?

 

高橋さん:

ママたちが育児休暇後に復帰しやすいよう育児休業中の社員と会社との繋がりを大切にしてます。出産後の社員に対し、役員や上長が自宅の近くに複数回訪れて面談し、現在の社内や部署内の情報をアップデートしています。

 

ちなみに私はママ社員が入院中に赤ちゃんに会いに行っていますよ。

 

──副社長である高橋さんがですか⁉︎ 

 

高橋さん:

もちろん先方の都合によっては遠慮することもありますが、基本的にほとんど行っていますね。私にしてみたら社員の子供は孫のような存在なんです。家族も合わせてベアーズなんですよ。

社内恋愛もベビーラッシュも大歓迎です!

──「男女問わず育児休暇取得100%」制度導入においての秘話があれば教えてください。

 

高橋さん:

創業時、まだ社員も少なかったのでとても忙しい会社でした。ですから、女性たちは「この会社にいたら結婚も子供も持てない」って言っていたんですよ。それがとても悔しく、悲しかったですね。このときの悔しさが今の制度に繋がっています。

 

──いまだに日本では「忙しいから結婚も子どももできない、だから辞める」という選択をする女性も多いですよね。そんな状態から現在まで、どのようなことをしたのですか?

 

高橋さん:

社員を増やすというのはもちろんですが、社員のために率先して合コンを組んだりもしていましたね(笑)。これは社員同士が家族みたいな関係だったからこそですね。

 

それから社内恋愛も推奨していました。

 

──推奨ですか!社内恋愛を禁止にしている企業もあるなか、“推奨”まで思い切るのはなかなかないですよね。

 

高橋さん:

そうだと思います(笑)でも社内恋愛だって幸せのひとつの選択肢だと思うんです。それを会社が禁じてしまうのはちょっと違うんじゃないかな…と思って。

 

弊社では社内恋愛がとても多く35組ほどいるんです。取締役や執行役員も社内恋愛ですし、今年も何組かゴールインし、4日間で3人子供が生まれるベビーラッシュが起こるほどです。

 

制度導入で育児休暇からの復帰率100%

──制度を導入した結果、社員の反応はいかがでしたか?

 

高橋さん:

男女問わずに育休を100%取る、という具体的な数字を出したことで、休みやすくなったようです。制度導入後は子育てしやすい、働きやすいと嬉しい声が上がっています。みんな「ベアーズは愛に溢れている」と言ってくれるのが本当に嬉しいです。

 

会社としてもいい結果が得られています。なんと言っても育児休暇からの復帰率100%! おかげで、才能ある社員を失わずにすんでいます。かつて「この会社じゃ結婚も子育てもできない」と言われていたんですから、大きな進歩だと思っています。

 

また、育児休暇中の社員がスムーズに復帰して活躍できるように、育児休暇も朝礼の議事録や社内報が見れるようになっています。さらに復帰した社員の3割ほどが昇格もしているんですよ。

 

──今後、会社として「働き方改革」にどう向き合っていくかを教えてください。

 

高橋さん:

ダブルキャリアの応援していきたいですね。学生時代に情熱を注いだ部活動などをそのまま続けられるような実業団やサークル活動などの充実を図れたらと思います。

 

また女性だけにフォーカスせず、男女隔たりなく介護や体調不良、家族に優しい配慮をしていきたいと考えています。そのため、弊社では社員のキャリアだけでなくライフプランの共有も行なっているんです。これを生かして、さらに社員の人生に寄り添う制度や文化を育んでいきたいです。

 

──まさに「働いて幸せになる」ことを考えていらっしゃるんですね。

 

高橋さん:

そうですね。直近では、社内に託児所だけではなくて、子どもの教育を伸ばしていけるような施設を作りたいと思っているんです。

 

あとこれは社内でも公言しているのですが、無人島を借りて家族ごとに旅行に行けるようなことがしたいですね。せっかく今は働き方が変わりつつあるんです。それこそ無人島でリモートワークをしながら楽しむ、なんていう働き方があってもいいんじゃないかと思います。

 

… 結婚や出産によって環境が変わっても、仕事で得られる幸せは変わらない。ベアーズでは「男女問わず育児休暇取得100%」制度によって、安心して働ける土台が作られていました。

 

【会社概要】

社名:株式会社ベアーズ

従業員数: 535名

設立年月日: 1999年10月

業種:人材サービス

事業内容:家事代行サービス、ハウスクリーニング、キッズ&ベビーシッターサービス、高齢者支援サービス、ホテル清掃サービス、マンションコンシェルジュサービス、オフィス・店舗・ビル清掃サービス

 

取材・文/ひなたきこ