親子にとって会社は「近すぎず、遠すぎない」関係性を築ける最後の場所

 

──モーハウスは、本当に子連れ出勤が「当たり前」な会社なんですね。ただ一般的には、子育て中の人、ましてや授乳中の女性を採用することをためらう企業は多いです。「子どもの体調不良ですぐ休まれるのではないか」「頻繁に休まれる人に重要なポジションを任せられない」など、リスクが高いことも一因だと思います。モーハウスではこうした問題はどう考えているのでしょうか?

 

光畑さん:

弊社にはむしろ「良い機会なので、子どもが小さいうちだけ」とインターンで働く社員や、子どもが先天性の病気を患っているなど保育園に預けるのが難しい社員も働いています。会社としても子育て中の女性に100%の力での仕事は期待していません。子育てには体力も時間もかかるのだから、当然です。小さな会社では欠員が出たら代わりの人材がいないので、むしろ週2回だとしても早く復帰してもらえた方が大助かりというケースもあるのではないでしょうか?

 

もちろん、会社としては当然その分の人件費はかかります。でも多くの方が思うほど仕事の効率が落ちることはありませんし、みんなで助け合って仕事をすれば問題が起こることも少ないです。また子連れ出勤には、親子にとってのメリットも多いです。親が子どもと長い間一緒にいられることはもちろん、産後の孤独感や鬱の防止にもなります。子ども自身も、大人に囲まれて育つので人見知りがおさまることが多いです。保育園よりは接する人数が限られるので、風邪や感染症にかかるリスクも低いように思います。

 

──リスク軽減という視点は新しいですね。確かに子連れ出勤ができれば、多くの親が直面する「慣らし保育で号泣されて後ろ髪を引かれる」なんてこともないですね。

 

光畑さん:

昔は祖父母や地域の人など、色々な大人が子どもの成長を見守っていました。でも今は核家族が大半で、親自身もウェットな関係性は好まないですよね。職場はドライな関係性ですが、毎日親と一緒に子どもが来ていれば他の社員も顔と名前を覚えますし、休み時間に遊ぶことも日常的にあります。子どもがいたずらをしたら、親以外の社員でもちゃんと叱ります。そう考えると、「親戚よりは遠い、けれど濃すぎない」関係性でいられる会社は、近所付き合いに変わる最後の場所なのかもと思っています。

 

 

「仕事をしたいからこそ、子どもファースト」「産後鬱の防止や子どもがたくさんの大人と関わり合いながら育つなど、メリットもある」。光畑さんの考えを聞いて、子連れ出勤へのイメージが変わりました。親にも会社にも求められているのは、「我慢」ではなく「工夫」だと言えるでしょう。

 

 

取材・文/秋元沙織