共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

ビジネスマッチングサービス「レディくる」を主軸にした営業マーケティング事業を展開するフロンティア株式会社。多様な視点で新しい仕掛けを次々に生み出す背景には、会社で働く人たちを「応援」する制度がありました。

 

「奨学金補助制度」と「シングルマザー・ファザー応援制度」。対象となる社員にすべて一定額を支給し、金銭的な負担を軽減する制度です。これらの制度を活用してキャリアアップしている社員もいるフロンティア。なぜ金銭的な支援を行うのか、人材開発部の小銭さんに話を伺いました。 

「同じスタートラインに立ってほしい」という想いから始まった「奨学金補助制度」 

制度名称: 「奨学金補助制度」「シングルマザー・ファザー応援制度」 導入開始日: 「奨学金補助制度」「シングルマザー・ファザー応援制度」ともに20184月より実施中 対象者:「奨学金補助制度」は奨学金を支払っている社員すべて、「シングルマザー・ファザー応援制度」はシングルマザー、シングルファザーの社員全員 現在、利用している人数: 「奨学金補助制度」は20名、「シングルマザー・ファザー応援制度」は2

 

 

フロンティア株式会社 人材開発部 小銭綾乃さん 

2015年にフロンティア株式会社に入社後、営業を4年経験。2019年には人材開発部に異動し、課長に就任。現在はES(従業員満足)担当としてメンバーの面談・研修等を中心に行っている。

 

 

——奨学金の返済については金銭的な負担から社会問題にもなっています。フロンティアの「奨学金補助制度」はどのような制度なのでしょうか。

  

小銭さん(フロンティア):

奨学金を借りている社員に対して、フロンティアで働いている間は毎月の返済と同等の金額を毎月支給するという制度です。奨学金を借りている社員であれば誰でも対象となります。

 

——返済額と同等の金額をですか!?社員はとても助かると思いますが、なぜ毎月の返済を直接サポートするような制度が始まったのでしょうか?

 

小銭さん(フロンティア):

新卒採用、中途採用どちらもですが、フロンティアで働き出す際に「まずは同じスタートラインに立ってほしい」という想いからこの制度は始まりました。奨学金の返済があることで、金銭面で他の社員と同等のことができないといったことが起こる場合があります。たとえば、社員同士のコミュニケーションを目的とした食事や遊びを企画した際に、金銭的な制限のために参加できないといったことがないようサポートをしたいと考えています。

 

——「同じスタートラインに立つ」ことの重要性を認識して始まった制度なのですね。対象の社員は奨学金の負担が軽減されることで業務にも積極的に取り組みやすくなり、チャレンジの幅も広がりそうです。制度が導入されてからは会社に何か変化はありましたか?

 

小銭さん(フロンティア):

導入後、新卒採用において学生からの応募が圧倒的に増えました。多くの方から興味を持っていただける制度だと改めて認識しています。さらに奨学金を返済している方は、もともと「奨学金を借りてでも勉強したい」というやる気に満ちあふれている方が多いとも感じます。

 

現在制度を利用している社員のなかには、2016年に新卒入社した後、同年に主任へ、2018年には課長へ昇格した者もおり、その活躍には目を見張るものがあります。

 

「自分自身の力で稼ぐ」意欲の高い人材獲得にも。「シングルマザー・ファザー応援制度」

 ——「誰もが同じスタートラインに立つ」ことを大切にされていることが伺える制度として、「シングルマザー・ファザー応援制度」についても教えてください。どのようなサポートをされているのでしょうか?

 

小銭さん(フロンティア):

シングルマザー、シングルファザーの社員に対して毎月定額の手当を支給しています。

 

近年、女性活躍推進法や男女雇用均等法の施行等から女性が活躍できる環境整備が後押しされています。ただ、女性全員が恩恵を受けているかというとそうではありません。フロンティアでは、女性の活躍しやすい環境整備として独自の福利厚生の導入を幅広く行っています。その中でもこの制度については、子どもを育てながら働くシングルの方に向けて、少しでも金銭的な負担がやわらぐよう導入しました。

 

 

——働きやすい環境づくりを現実的な視点から実践されているのですね。導入後、何か効果は感じられていますか?

 

小銭さん(フロンティア):

現在では複数名のシングルマザーの社員が大活躍してくれています。以前はシングルのために活躍の場所をなかなか見つけられなかったという社員もいましたが、今は自分自身の力で収入を得て、しっかりと子どもを育てるという強い思いを持った社員が増えていると感じています。

 

制度を利用している社員の声を紹介します。

「入社したときは実家に住んでいたのですが、入社して、頑張ってお金を貯めて子どもと2人暮らしをすることを目標にしていました。数か月前から2人暮らしを始めることができています」
「本当にありがたいです。給与としていただいていますが、子どもの教育資金として貯金しています。まだまだ勉強することがたくさんあるので自分自身の力もつけたいです」

 

——社員の自立心を後押しするような制度でもあるのですね。今後、改善など何か考えていることはありますか?

 

小銭さん(フロンティア):

今のところはありませんが、これからも課題が出れば柔軟に解決し、より社員を応援できる制度にしていきたいと思っています。

 

 

社員を金銭面から支えるこれらの制度は、社員にとって大きな励みにもなっているのかもしれません。代表取締役社長である高橋政裕氏には、「フロンティアを通して人生豊かになってほしい」という想いがあるそうです。フロンティアには細やかな視点から生まれた制度が様々ありますが、社員はそうした環境から代表の想いをしっかりと受け止めているのだろうと感じました。

 

【会社概要】

社名:フロンティア株式会社

従業員数:88名

設立年月日:2009年11月11日

業種:各種ビジネスサービス、その他サービス、コンサルタント

事業内容:『レディくる』の企画・開発・運営、営業支援サービス、マーケティングサービス、営業コンサルティングサービス

 

取材・文/高梨真紀