「小さなガマン」をやめることから始めてみよう!

ずっと他者中心で生きていると、自分の気持ちに鈍感になりがち。みずからの本心に気づき、尊重するにはどうしたらいいのでしょうか。

 

「まずは、自分はこれまで他者中心の考え方にとらわれていたという自覚を持つことです。そして、今後は自分中心で生きていこうと決めることが大切です。こうした意識を持つことで少しずつ考え方が変わってくるはずですよ」

 

今まで見過ごしていた小さな欲求にも耳を傾けることも大切だそうです。

 

「たとえば、仕事が忙しくて時間がないとき、通常であればムリをして頑張りすぎてしまうしれません。でも、心の声に耳を傾けて、疲れたら思いきって少し休むということでもいいでしょう。また、ガマンしないことで、気分がラクになります。急に自分を変えるのは難しくても、小さな欲求を行動に移していくことで、少しずつ自分中心の考え方を身につけることができます」

 

同じ考え方を母親に押しつけてもうまくいかない

自分中心で生きるようになると、母親との関係もプラスに変化するといいます。

 

私はこうしたいという明確な思いを自覚していると、母親に振り回されることがなくなります。干渉してこられても、“お母さんの気持ちはわかったけれど、私のしたいことは違うの”と、はっきりと意思表示できるようになるのです」

 

とはいえ、母親の気持ちも楽にしようと、相手にも自分中心の考え方をするように求めてもそれは難しいそう。

 

「長年、他者中心の生き方をしてきた母親は、自分中心の考え方がすぐには理解できません。だからまず、あなた自身が自分中心の行動をするように心がけることが大切です。みずからの意識や言動を変えると、少しずつ母親も変わっていき、お互いにガマンし合う負の連鎖も止まるのです」

 

それでは、自分中心の考え方をどのように母親との接し方に取り入れたらいいでしょうか。次回は、具体例を挙げてお話しましょう。

 

PROFILE 石原加受子さん

心理カウンセラー。「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所オールイズワン代表。日本カウンセリング学会会員、日本学校メンタルヘルス学会会員、日本ヒーリングリラクセーション協会元理事、厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」アドバイザー。

 

文/齋田多恵