「ごはんと旅は人をつなぐ。」をテーマに、おいしいごはんや素敵な旅を通じて、人と人を繋ぐ。そんな活動をしている料理家・ダーダこと山田英季さんによる、連載エッセイ。
山田さんが「とにかく、今これが食べたい気分」な美味しいレシピを、作っているときの熱量も一緒にお届けします。
#02「手抜きのルール。すだち出汁の海鮮丼」
最近、レシピ本の準備で忙しい毎日をおくっています。 みなさんもきっと忙しい日々を過ごしてるんじゃないかな?
大人って大変ですよね。子供も一生懸命ですが。
さてさて、料理家だって、料理をする時間が無限にあるわけではない。 しかし、スーパーの惣菜コーナーに行って、それだけで食卓を埋めるということはできれば避けたい。
小さくても思い出にならない食事は、なんだかもったいない気がするので。
でも、仕事で疲れた帰り道のスーパーでは、「20%引き」のシールが貼られたお刺身とよく目が合ってしまう。
しかも、妙に美味しそうに見えたりするものだから、今日もそれに手を伸ばし、買い物カゴの中に入れて、レジに並ぶのです。
しかし、ここからが料理家の腕の見せ所。 曲がりなりにもプロですから。
今日は、ご飯も冷凍のストックを使ってしまうので、はぶきます。 文明って素敵。(お前はプロか?)
しそをせん切りにして、スダチは輪切りにします。柑橘系の輪切りは、見てるだけで癒される。
お次は、ボウルに「白だし」と「スダチ」を軽く絞りながら加えて混ぜます。
すっきりとしたスダチの香りが、疲れた体を優しく緩めてくれるので、顔を近づけて思い切り鼻から吸い込みましょう。(二度目の癒しタイム)
「お刺身」をバットに並べて、「スダチだし」をかけたら、10分冷蔵室に入れて"漬け”にします。醤油を使った漬けとは違う、だしの風味と旨味がたまらんのです。
後から気づいたんですが、「スダチだし」の入ったボウルにお刺身を“ジャボン”したらラクですね。忙しい日々の中では漬けている「この10分」も無駄にはできません。
洗い物をして、ビールをプシュッとしてしまいましょう。 2個入りだったスダチをホワイトビールに絞っちゃたりして。 「ゴクリゴクリ」です。うまいよねー。
そうこうしているうちに“漬け”が出来上がってしまいます。 レンチンごはんを器に盛り付けましょう。 茶碗じゃなくて、深めのお皿とかに盛り付けるといつもと雰囲気が変わって新鮮な気分。
そこに、お刺身を盛り付けます。
「わさび」を添えて、「ごま」と「しそ」をのせ、お好みで「漬けだれ」を回しかけます。 はい、出来上がり。
ひと口目が、肝心なので、細心の注意をはらいながら、お刺身とご飯の配分を決めてお箸ですくいます。 口の中に入れれば、だしとスダチの香りが、「あぁ、幸せ」と僕に呟かせるのでした。
9月の台所三箇条
- 忙しかった日の買い物で、安売りのお刺身と目があった日は、迷わずサボりましょう
- 買ってきたお刺身は、ひと手間かけてより美味しく
- 器を変えて、いつもと違う気分で食べましょう
「すだち出汁の海鮮丼」レシピ
本日の材料 ふたり分 (調理時間:20分)
ごはん…………………2膳分お刺身の盛り合わせ……150g
しそ……………………2枚
すだち…………………1個
白だし…………………大さじ6
ごま……………………適量
わさび…………………少々
作り方
①しそをせん切りにする。すだちを輪切りにする。
②ボウルに白だしを入れて、輪切りにしたすだちを軽く絞りながら、入れて混ぜる。
③②に刺身を入れて、10分おく。
④ごはんの上に、漬けたお刺身、しそ、ごまを盛り付け、わさびを添える。
*お好みで、漬けダレをかける。
<おまけ> 最近増えた台所の仲間たち。
代官山TSUTAYAのポップアップショップで、アンティークのリネンを買いました。 お気に入りです。
料理製作・文・写真/山田英季 構成/松崎愛香