共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。
子どもが理由で会社を休まないといけないのは体調不良だけではありません。授業参観や保護者会の出席、健診、予防接種など1日や半日休むほどではないけれど、数時間休みが欲しい…そんなシーンがママやパパには多く訪れます。
創業135年の老舗化粧品メーカー桃谷順天館(ももたにじゅんてんかん)は柔軟な働き方を可能にするため「時間単位有休取得制度」を実施しました。今回はこの「時間単位有休取得制度」について、企業広報の中田さんに伺いました。
桃谷順天館の時間単位有休取得制度
制度名称:時間単位有休取得制度 導入開始日: 2019年4月11日から実施中 対象者:正社員・契約社員・パート社員 今までに利用した人数:全社員の37.7%
教えてくれたのは…
株式会社桃谷順天館
企業広報 中田さん
──2019年4月10日より「時間単位有休取得制度」を導入したそうですね。これはどういった制度でしょうか?
中田さん(桃谷順天館):
これまで休みたいときは全日、もしくは半日単位しか取得できませんでした。時間単位有休取得制度は年5日分(40時間)を1時間単位で取得することができ、仕事の業務効率を担保する目的があります。
──「時間単位有休取得制度」を導入した目的は何だったのでしょうか?
中田さん(桃谷順天館):
より効率的かつフレキシブルな働き方をしてほしいと思ったからです。弊社には時間単位有休取得制度の他にリモートワーク、PMSや不妊治療に対応する休暇など、社員が自分自身の置かれている状況に応じて1番能力を発揮できる働き方を選択できる環境を整えています。
少しだけ〇〇したいというシーンで役に立つ
──実際に社員のみなさんは「時間単位有休取得制度」をどのようなシーンで使っているのですか?
中田さん(桃谷順天館):
お子さまを持つ社員は授業参観や子どもの健診、それ以外の社員も少しだけ〇〇したいというシーンで活用されています。ママだけでなく、パパ社員も朝保育園へ送ったり、熱を出した子どもを病院へ連れて行ったりなどに使っていますよ。
──有休を取っておけるのはありがたいですよね。導入した結果、社員の反応はいかがでしたか?
中田さん(桃谷順天館):
1日や半日単位よりも有休を有効に使えるのが助かっているようです。とくにママさんは子どもの急な体調不良などで有休がたくさん残っているわけではないので、全休・半休を使わなくていいのはありがたいですよね。
体調不良だけでなく、子どもの誕生日などは早めに家へ帰って一緒にお祝いするなど、「親子の絆」を深めることもできます。ちなみに弊社には「時間単位有休取得制度」だけでなく、「親と子の絆制度」という制度もあるんです。
職場環境がモチベーションへと繋がり”好循環”が生まれる
──時間単位有休取得制度など様々な制度を導入することで、会社への影響はありましたか?
中田さん(桃谷順天館):
良い職場環境で働くことで社員のモチベーション向上に繋がり、仕事の生産性を高める好循環が生まれています。例えば子育て中の社員からは子どもとのコミュニケーションの時間を取ることができ、仕事へのモチベーションにも繋がっているなどの声も寄せられました。
──制度を導入するうえで苦労した点はありますか?
中田さん(桃谷順天館):
働き方改革を進めるうえで「経営陣と社員の意識統一」「制度を利用しやすい風土づくり」「IT環境整備」などが一般的に課題としてあげられます。弊社ではたとえば意識改革を目的に社外から株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵氏を講師としてお招きし「経営戦略としての働き方改革」についての社内講演会などを実施しました。
さらに様々な働き方改革を進めるうえで出てくる課題をきちんとクリアにすることで、社員一人ひとりが働き方を自分で選択することができる環境へと変化していきました。
… 制度を作るだけではなく、社員がその制度を使いやすくするところまで整える桃谷順天館。その背景には経営陣から一般社員まで、社内全体の意識改革という働き方改革推進部の方の努力が伺えました。常に進化を続け、新たな姿を創造していく社風が昔から長く続いている信用ある企業へと繋がっているのでしょう。
【会社概要】
社名:株式会社桃谷順天館
従業員数: 445名
設立年月日: 1885年
業種::製造業
事業内容:化粧品メーカー
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取材・文/ひなたきこ