家族の中のバランスを取るのがパパの役割

元気に遊ぶ娘さん

妻との衝突のなかで、高橋さんはあることに気づいたそうです。

 

「僕の妻への反発は、自分の子どもの頃のトラウマが原因だったんです。僕の母は教育熱心で、学校の勉強は2年先まで常に学習済みの状態。テストで95点を取るとすごく叱られ、子ども心に非常に理不尽でした。一方、父は子育てにノータッチ。この体験から、娘が意に反して勉強をさせられていると、娘に同調して『かわいそう』と考えていたんです」

 

勉強は人生に必要な「根性」を学ぶ機会でもある

自身のトラウマに気づいたことは、高橋さんが教育方針についての考えを変えるきっかけとなりました。

 

「でも、改めて考えてみれば、ムリヤリ勉強をさせられるのはかわいそうですが、勉強すること自体はよいことです。僕が子どものころ、学校の成績がよかったのは母のお陰です。さらに、この先娘には根性を出して頑張るべきときが必ずきます。理不尽なこともやるしかない場面もあるでしょう。嫌々ながらも勉強することは、そういった根性を学ぶ機会でもあると気づいたときに、妻の方針を全面的に信頼しようと思いました」

 

昭和世代の父親とは異なる、高橋さんの父親像

高橋晋平さん

では妻の方針を受け入れたうえで、父の役割とは何かと考えた高橋さん。何もしなければ、昭和世代の自分の父と同じになってしまいます。そんな煩悶を経ていきついたのが「父親とはバランス」ということでした。

 

「妻は勉強にも習い事にも厳しく、娘が泣いてしまうことも。そんなときは僕は娘と一緒におやつを食べます。でも片付けをしなかったときなど、僕も妻と一緒に厳しく言うこともある。ときには中立のこともあります。いつもどちらかの味方をする、いつも中立というのではなく、その時々でバランスを見ながら関わるのが父親の役割だと思ったんです」