コロナ禍で増えた家時間。キッチンに立つ時間が以前に比べて長くなりました。毎食の献立に悩むことはもちろんですが、料理を作る、後片付けをする…そのプロセスの多さにため息をついてしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、今まで当たり前におこなっていたことや、「こう使う」と決めつけていたことを手放すと、驚くほど毎日の家事がラクになるという観点から、キッチン収納についてまとめたいと思います。
1.日々の動きの無駄を知ろう
まず始めにやるべきは、キッチンでの家事動作を一度見直すことです。
新しい家に引っ越したり、家を建てたばかりのころは、使い勝手がよくなるように、ものの置き場所を変えるなど、工夫するものですよね。
ところが、居住期間が長くなると、増えつづけるもので収納が圧迫され、使いづらいのに、ものの置き場にも自分の動きにも疑問を持たなくなってしまう。その結果、やりづらい家事のしかたをなんとなく続けている人が多いように感じます。
実は日々の家事動作には、“時間や労力、収納の無駄遣い”が隠れていることも。コロナ禍で大変なときだからこそ、家で過ごす時間をより快適なものにするためにも、「この家事にはこの方法しかない」という決めつけを手放して、今までのプロセスの無駄を省いてみましょう。
たとえば、冷蔵庫から食材を取り出すときの動線はどうでしょうか?何度も行ったり来たりして少しずつ取り出す人も多いのでは。これでは無駄な動きが生まれます。トレイやかごなどを使って、必要なものをまとめて運べたら、何往復もする必要がなくなり、食後の片づけも一気にできます。
ほかにも、お湯を沸かす、コーヒーを淹れる、食器を出す、ご飯をよそう、などの動作でも、行ったり来たり無駄な動きが生まれる場合が多いものです。できるだけ「関連するのものは近くに収納」を基本に。そのゾーンで行動が完結するように配置できると、とても楽になります。
イメージは、ホテルのレストランなどでよくみるビュッフェスタイル。必要なカトラリーや食器が関連する食材のすぐそばに置いてありますよね。使う場所にすぐ手に届くように置いていれば、す~っと流れるような動作で家事がスムーズになります。
2.ストック食品の収納場所は2箇所までに
今回の新型コロナウイルス対策で、ストックの量を増やしたという人も多いと思います。ストック食品が増えるとネックになるのが収納場所。「スペースが空いているから」という理由で、同じものの収納場所があちこちに点在しているパターンを見かけますが、これではあとが大変。いろんな場所に置いてしまった結果、何がどこにあるかわからなくなり…
- 重複買いをしてしまう
- 賞味期限を切らして結局無駄にしてしまう
といった無駄を生む原因にもなります。必要なときにすぐに使えてこそのストック食品ですから、これでは備えの意味がありません。
無駄を防ぐためには、管理のしやすさが必須。
ストック食品を持つこと = ものの数や賞味期限を管理すること
と考えてください。場所がバラバラでも、たくさんありすぎても、結局管理が大変ですよね。それをつねに頭に入れておけるといいと思います。
おおよその収納物を覚えやすい、見直し時間が長くならないといった点から考えると、ストック食品の収納場所は2箇所程度にとどめるのがおすすめです。
吊り戸棚など、自分の目線より上にストック食品を収納する場合は、下ろさないと中身が確認ができないので、ストック管理のハードルがかなり上がります。できれば引き出しを開けてすぐ目に入るなど、より少ない動作で無理なく確認できる収納場所を選びましょう。
3. 冷蔵庫に収納ケースをズラリ…実は使いづらい場合も
冷蔵庫内に同じ種類の収納ケースをズラリと並べる、いわゆる“生活感を払拭した”収納が以前はとても人気でした。ただ、自分で実践してみて感じたのは、
①中身が把握しにくい
②賞味期限を見逃してしまう
③収納ケースにうまく入らないものが出てくる
④収納ケースを前後に動かす動作が1つ増えた
⑤家族には戻す作業が難しい
などのデメリット。いずれも“生活感を隠す”ことにこだわりすぎた結果です。
その一方で、食品を収納ケースに入れることで、冷蔵庫内の汚れ予防に役立つというメリットもあります。
このメリットとデメリットを考慮して、収納グッズをケースから浅めのアルミトレイに変えてみました。すると、使い勝手がぐんと上がり、賞味期限を切らしてしまうこともなくなりました。特にアルミ製のバットは熱伝導率が高く、食品の解凍時間も短縮できるのでおすすめです。
4.調味料の詰め替えは、やめてもいい
上記の収納ケースと同様に、調味料を別のボトルに詰め替えて、“見せる収納”を楽しむ人も増えました。おしゃれな雰囲気のキッチンだと、確かに家事のモチベーションが上がります。
ただ、その詰め替えには、どのくらいの時間を要しているでしょうか?億劫にはなっていないでしょうか?
楽しめていればOKですが、また詰め替えなくちゃ、面倒だなぁ…などと、どこか負担に感じているなら、詰め替えのプロセスを減らしてみてもいいのかもしれません。
5.収納ケースの厚みと重さをチェック
100均やニトリ、無印良品、IKEAなど、たくさんのショップからさまざまな収納ケースが発売されていますね。引き出しや冷蔵庫内で仕切り代わりに使うなど、有用な場合が多いですが、収納ケースなら何でもいいというわけではありません。まず収納ケースの重さによっては、使いにくくなるということを理解してください。
前回記事「クローゼットが本当に片付く!プロが教える収納グッズの選び方」にも書きましたが、収納ケースを使う際には必ず、中に入るものの重さがプラスされます。その点を考慮して、ある程度軽量の収納ケースを選ぶ必要があります。
また、キッチン内の引き出しや冷蔵庫内は非常に狭い空間。ここに複数の収納ケースを使って収納する場合、注意しなければいけないのはケースの厚みです。厚みがあるほど収納に使えるはずのスペースが減ってしまい、入るはずのものも入らないという結果につながります。なるべく収納ケース自体の厚みで場所を取らないようなものを選ぶといいでしょう。
6.スッと出せるかどうかで家事時間が変わる
使用頻度の高い食器、調理器具、掃除道具等などを、スムーズに出せる収納かどうかで家事にかかる時間は大きく変わります。
いくつかあるなかでも本当によく使う、いわゆる“スタメン”のようなアイテムって、どの家庭にもきっとあるはずです。ボウルやフライパン、鍋などで、無意識に手に取ってしまうお気に入り。そういった“リアルによく使うもの”が、取り出しにくく出すのに時間がかかる…そう感じているなら、今すぐ改善すべきです。
よく使う調理器具がゆったりと収納できるよう、使わないものを調理場所から少し遠い位置に収納しなおしてみてください。シンク下やコンロ下などが一番使い勝手がよい“収納のゴールデンゾーン”です。この“特等席”を、出番が少ない調理器具など、なんとなく捨てられないもので圧迫しないように心がけましょう。
毎日の家事が断然楽になるキッチン収納まとめ
毎日の家事を楽にするには、まずいつもの自分の行動や収納に疑問をもつ姿勢が大切です。今までこうやってきたから、昔お母さんがこうしていたから…という理由でずっと続ける必要はありません。「疑問を持ち、つねに見直す」ことを続けてこそ、新しい気づきにつながります。
現状を見直すときは、
今回お伝えした以下の6つのポイントも意識してくださいね。
①キッチンでの自分の動きを知る
②ストック食品はあちこちに置かない
③収納ケースを仕切りにするメリット・デメリットを意識
④無理をして調味料の詰め替えはしない
⑤収納ケースの重さ、厚みは要チェック
⑥すっと出せる収納が家事時間短縮に直結する
雨の日が多く家事が思うように進まない、キッチンに立つのが辛い、疲れた…と気持ちも落ち込みやすい時期。そんなときこそ習慣や収納を見直して、日々の暮らしをアップデートしてみてください。
文/瀧本真奈美