この日の撮影は着物姿で

朝早く起きることができないし、洗濯や掃除が大の苦手。家事や育児の才能が微塵もないと自負する、生活力欠如系主婦甘木サカヱさん。

 

一般の主婦にも関わらず、 よく眠りたまに色々考える主婦(@toppinpararion)の名で彼女が運営するツイッターアカウントは、 9万3千人にフォローされています。

 

前回の

「主婦 甘木サカヱさんの義父母ツイートにフォロワー9万人超え!」

では、甘木さんにツイッターとの関わり方について伺いました。今回は、絵本マニアでもある甘木さんに絵本に対する想いについて伺います。

 

PROFILE:甘木サカヱ(あまき・さかえ)
義両親と三世代同居中の二児の母。日々の暮らしの中での子育ての悩みや、義父母への不満やグチを笑いに変えるツイートが話題となり、ツイッターのフォロワー数は9万3千人越え(2020年6月24日現在)。猫と絵本をこよなく愛し、主婦ライターとして活動中。著書に「アラフォーになってようやく気づいたんだけど、私、たぶん向いてない。生きることに……メンタル編」(KADOKAWA)などがある。Twitter:よく眠りたまに色々考える主婦@toppinpararin

 

絵本は子どものころの自分をケアするためにある

──無類の絵本好きでもある彼女。自宅の蔵書を見せてもらうと、そこは絵本絵本絵本の山!絵本の蔵書は1000冊以上だとか。

 

甘木さん:

もともと絵本は好きでしたが、買い集めるようになったのは2人の子どもが産まれてからですね。

 

さらにツイッターを通して絵本好きな人たちと交流を持つようになり、オフ会に参加したりするなかで絵本好きがどんどん加速していきました。自分と同じように絵本が大好きな大人たちを見て、「大人でも絵本好きでいいんじゃ〜ん」と自分の中で何かがひらけてしまって今に至ります(笑)

 

──そこまで甘木さんを魅了する絵本の魅力とは何でしょうか?

 

甘木さん:

自分が子どもだった頃のことを思い起こさせてくれるというのが一番の魅力なんだと思います。

 

いい絵本と出会うと、当時のみずみずしい感情がぶわ〜っと蘇ってくるんです。誰しも子どもじゃなかった大人はいないじゃないですか、絶対みんなの中に子どもの部分があって、そこにいい絵本はすっと届くというか…。

 

すると、自分が子どもの頃に悔しかった気持ちだったり、本当はこうしてほしかったのに、というトゲトゲした思いが優しく包み込まれているような感覚になるんです。それが癒しであったり、慰められているような気がして心地よいのかもしれません。

 

──子どものためではなく、あくまでも甘木さん自身が絵本を求めているという感じですね。どういった絵本が好きですか?

 

甘木さん:

子どもとしっかり向き合っている作品でしょうか。

 

子どもを大人の思い通りに動かそうとするような本はあまり好きじゃないので、しつけ絵本などは苦手ですね。

 

例えば、私が大好きな絵本のひとつに、きくちちきさんのデビュー作である『しろねこくろねこ』(学研プラス刊)という本があるのですが、これは子どもの心と真剣に向き合っているのがわかる作品です。

絵本『しろねこくろねこ』と猫
甘木さんの家の猫ちゃんによるミラクルショット!!

──いつも一緒にいる「しろねこ」と「くろねこ」は大の仲良し。けれど、周囲からきれいと褒められるのはいつもしろねこで、いつしかくろねこは劣等感に苛まれ、しろねこの元を去ってしまいます。そんなくろねこを黙って追いかけるしろねこ。黒い森を越えた先にある、色とりどりの花畑でしろねこがくろねこにかけたひと言が印象的で…。

 

甘木さん:

この物語は、おしつけがましさがない優しさで溢れています。「あなたはあなたのままでいいんだよ」と。この本と同じようなメッセージを目指している作品はたくさんありますが、余計な言葉を全て削ぎ落として、こんなに優しく伝えてくれる作品にはなかなかな出会うことができません。

 

それにこの本はイラストが本当に素晴らしいんです。孤独に2匹が歩く森のシーンであったり、言葉がない一面の花畑のページにぐっと引き込まれます。

 

今では個展に行くほどすっかりファンになってしまいました。本当に素晴らしい作品なので、ぜひみなさんにも読んでもらいたい絵本のひとつです。