vol.32 日本型雇用システムの見直し
育児、仕事、家事、社会のこと、ママたちが普段気になっていることをCHANTOモニターに大調査!ママたちの「どうして?」を「なるほど!」に変える記事をお届けします。vol.32は「日本型雇用システムの見直し」についてです。
今年1月、経団連が「日本型雇用システム」の見直しを促す経営労働政策特別委員会報告を公表しました。日本型雇用システムとは、主に「新卒一括採用」「終身雇用」「年功型賃金」の3つのことを指します。これらの制度には会社に長く貢献してくれる社員を育てるメリットがありますが、現在ではグローバル競争に耐えうる優秀な人材の確保を阻んでいるなどのデメリットも生まれていると言われています。
働いているママたちはどう考えるのか?CHANTOモニターのみなさんに「日本型雇用システムの見直し」について聞きました。
「経験やスキル重視を」転職やジョブ型雇用の増加が影響大きく
最初に日本型雇用システムの3つの特徴について「新卒一括採用、終身雇用、年功型賃金のうち、あなたが見直す必要があると思うのはどれですか? 」と聞きました。
結果は「年功型賃金」44%、「新卒一括採用」41%「終身雇用」15%となり、「年功型賃金」「新卒一括採用」が票を二分しました。
「年功型賃金」については、「転職が一般的になったため、雇用形態に関わらず即戦力となる人材には見合った賃金を払って欲しい」など、自身の業績や能力で賃金を決めて欲しいという声、「成果主義の方が仕事へのやる気があがる」という声がありました。
同じように回答の4割近くを占めた「新卒一括採用」については、「就職活動を長く行えるようにしたらマッチング効率が上がり若者の離職が減るのでは」「中途採用での即戦力が欲しい」という意見が目立っています。
内閣府の調査によると、2010年ごろから転職率・転職者数はゆるやかに増えています。さらにジョブ型の雇用も少しずつ増えていることもあり、よりスキルや経験を重視して欲しいという声が多くなっていると考えられます。
次に「今後の日本社会で共働きや子育て世代の女性が特に働きやすい雇用形態・条件はどんなことだと思いますか?」の問いに答えてもらいました。
「テレワーク」「柔軟な休み方ができる」「時短勤務」という回答が多く、「育児のステージによって、パートや正社員など働き方をもっと自由に選べるようにしてほしい」というコメントもありました。こうした柔軟な制度が定着すれば現在働けずにいる人も働きやすくなり、企業側も優秀な人材の確保が可能となるでしょう。
アンケートの結果を見ると我々のニーズと合致する部分も多い日本型雇用システムの見直しですが、一方で不安な面もあります。例えば、子育て中にスキルアップできるのか?終身雇用の制度が終わると最初に解雇されるのは女性なのではないか?など…。そうしたデメリットも認識しておく必要がありそうです。
見直しが求められている日本型雇用システム。コロナ禍により、ジョブ型雇用を重視する方向に舵を切った大企業もいくつか出てきています。私たちも、働き方や企業のあり方が今後どのように変化していくか注視しておかねばなりません。同時に、その変化に対応できるようキャリアの目標をしっかりと据え、スキルアップしながら自身の価値を高めていくことも求められ
ています。
参考:「日本経済2017-2018」(内閣府)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2017/0118nk/n17_2_1.html#n17_2_1_2
取材・文/阿部祐子 イラスト/児島衣里