新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)を受けて、各企業でも在宅ワークの環境構築やビジネスモデルの転換など、スピーディーな対応を迫られました。そんな中で、今後の働き方につながっていくような大きな挑戦をする企業も多数見られました。「#働き方のミライ」最終回では、新しい働き方を始めた先進的企業の事例をピックアップして取り上げます。
在宅勤務環境への投資費用一律3万円支給(サイボウズ)
完全リモート化をするに当たって「社員への一時金」を支給した企業があります。
コロナの流行以前からテレワークに積極的に取り組んでいたサイボウズでは、コロナ禍の対策として、在宅ワークのさらなる推進に努めました。しかも、ただ社員に在宅ワークへの切り替えを求めるのではなく、在宅勤務環境への投資費用として、正社員、契約社員、派遣社員(派遣会社との契約に基づく)に対して、4月24日付で3万円を一律支給しています。
それまでも在宅用PCの貸与や希望者へのモニター、wi-fiルーターの貸し出しは行っていたサイボウズ。ただし、基本的にテレワークに必要な環境整備費用は本人負担としていました。そのため、在宅ワークの環境には個人差が。
ところがコロナの影響により、2月末から全社員が在宅勤務に切り替わりました。そこで、それぞれが在宅勤務するに当たってパフォーマンスを維持・向上させられるように、使用用途を問わない一時金としての支給を決定したのです。
使用用途は問わないとはいえ、半数以上の社員が在宅設備の購入費用に当てたとのこと。社員からは「在宅での勤務環境を快適に整えられた」という好意的な声が寄せられました。3万円の使い道について自由に話し合うリモート交流会も開催され、社内交流にも一役買ったのだとか。
Web会議の背景をきれいに映すためにグリーンバックを購入した社員も複数いた。中には100円ショップで材料を調達し、手作りした社員も!
ヨガマットやストレッチ器具など、在宅ワークをさらに充実させるために健康面の改善に利用した社員もいたそう
コロナ禍によって勤務体制を在宅ワークに切り替えた企業は多数ありましたが、準備期間なく切り替わったためにPC機器や通信環境は個人に任せるという企業も少なくありませんでした。サイボウズ社の一時金という形でのサポートのように、今後は勤務体制の切り替えと支援をセットにして議論していく必要もあるでしょう。
現在は緊急事態宣言の解除を受けて全社員在宅勤務も解除されていますが、今回の振り返りを元にオフィスの位置付けや在宅環境のサポートについて議論を続けるとのことです。