夫婦のコミュニケーションで本当に怖いのは知識の格差
──よりよいコミュニケーションのために、夫婦で心がけたほうがいいことはなんでしょうか。
犬山さん:
知識や情報をシェアすることですね。私は、〝知識はワクチン〟だと思っています。子育てでは、事前に知識を持っているだけで不安から解消されることがたくさんあります。妊娠中って、子育ての本をたくさん読みますよね。子どもが夜泣きをする仕組みや、母乳とミルクのメリットとデメリットについて、専門家が説明してくれている本もたくさんあります。知識があることで、無駄に悩んだり自分を追いつめたりしないということを、私も身をもって体験しました。娘が熱性けいれんを起こしたときも、知識があったから慌てずに対処できました。
──共働き世帯が多い中、夫婦のコミュニケーションには時間の制約もあります。ママは育休中でも、夫は朝から晩まで仕事で不在だったり。具体的にはどのように知識や情報を夫婦でシェアしていますか。
犬山さん:
私は、自分が勉強になった本の一節や、参考になるサイトのリンクを夫に送っています。妊娠中は、妊婦の体がどうなっているかという情報を送りまくりました。自ら主張するのが苦手な人なら、自分の意見を代弁している人の書いた文章のリンクを送って、読んでもらうのもいいと思います。夫婦でも、取得する知識には差があります。〝格差婚〟という言葉がありますが、夫婦にとっては金銭的な格差よりも知識の格差のほうが、のちのち問題になってくると思っています。
──実際に、知識や情報を共有していてよかった! と思えたエピソードがあったとか。
犬山さん:
夫がイヤイヤ期の娘と二人で新幹線に乗っていて、「誘拐ではないか」と警察に通報されてしまったことがあるんです。そのときの夫の反応は、「子どもを守ろうとして通報したのだから、それは正しいよね」というものでした。夫は私の活動(児童虐待を防ぐための「#こどものいのちはこどものもの」)を理解していて、子どもを守るために通報がどれだけ大切かを知っていたからこそ、そういう反応ができた。もちろん内心はショックだったと思います。それでも、知識があることでアウトプットされる言葉が変わるんです。