望んでママになったはずなのに…ふとした瞬間に「ママをやめたい」と感じてしまう。そんな自分が自分で許せない──仕事に加えて子育ての重圧に押し潰されそうになりながら、行き場のない感情を抱える女性が増えています。


そんな時代を背景に、CHANTOがお届けする5月の特集は「ママを休もう」。前回は

「「ママをやめたい」という気持ちを因数分解して行き着く先」

にて、産後の不安や育児の悩みに、コラムニスト犬山紙子さんご自身がどう向き合っているのかをうかがいました。

 

今回は、夫とうまく話し合うヒケツや、よりよいコミュニケーションのための心がけについてうかがいます。

 

PROFILE 犬山紙子さん コラムニスト。執筆業のかたわら、コメンテーターとしてテレビ番組でも活躍。最新作『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』(扶桑社)では、さまざまな問題を乗り越えてきた夫婦を取材し、リカバリーのヒントを示している。夫である漫画家・劔樹人さんとともに、3歳の女の子を育児中。

話し合いのハードルを下げて、まずは小さいリクエストから

──ママが孤独を深める原因のひとつが、夫との関係。夫に頼みたいことがあってもイヤな顔をされるので言い出しにくい、相談すると「ママの好きなようにしたら」と言われるのがむなしい、という悩みも。どうすれば夫とうまく話し合うことができるのでしょうか。


犬山さん: 

話し合いのハードルを下げることですね。改まって「話し合おう」と言われると、慣れない人は構えてしまう。たとえばコーヒーを淹れたついでに、「ちょっと話そうか」とやわらかい雰囲気を作るようにする。そして、「私たちは敵対しているのではなくて味方同士なんだよ」ということをまず伝える。「今こういうことがつらいんだけど、子どものためにどうしたらいいか一緒に考えない?」という言い方をするほうが、「話し合うべき」と切り出すよりも建設的な話し合いができますよね。

 

──無口でなかなか本音を話してくれない相手に対してはどうアプローチすればいいでしょうか。

 

犬山さん:

話し合いにはヒアリング力も大切です。自分の気持ちを話すことに慣れていない相手には、「考えがまとまっていなくてもいいから聞かせて」と優しく問いかけると話しやすい。相手が話し出したら、最後まで口を挟まないで傾聴すること。相手に「意見を言ったら聞いてもらえる」という成功体験を作ってもらう。それを踏まえて冷静に「じゃあお互いの気持ちがわかったところで、この問題をどうしようか」と冷静に話し合う。

 

こちらが話を聞いてほしいときも、「まとまってないけど、聞いてくれる?」と前置きするといいと思います。オチのない話でも解決策のない話でもいいんです。不安を表に出すことができれば、人は孤独にはなりません。

 

──夫に遠慮しているパターンとは別に、「こんなこと言わなくてもわかるでしょ」「自分でやった方が早いわ」という気持ちが、コミュニケーションのすれ違いを生んでいることも多そうです。

 

犬山さん:

本の取材でたくさんの夫婦を取材してわかったことは、「人はほぼ察しない」ということ。夫婦だから察してほしい、というのは難しいですね。口に出して言わなければわからないものだと思っていたほうがいい。話し合いが苦手な夫婦は、最初は簡単なリクエストをすることから始めるといいと思います。