子育てへの意識が低いパパをどう教育する?
──映画にも、ママをサポートしたいけれど、どうしたらいいかわからないと悩むパパが登場します。パパたちの中には、子育てをジブンゴトとして捉えていない人もまだまだ多いようですが…
豪田さん:
そういうパパは僕の過去の姿だから、気持ちはわかります(笑)。かつての僕は、家庭を持ちたいとも子どもを持ちたいとも思っていなかった。それが『うまれる』という映画を作り、誕生の瞬間に十回以上立ちあわせてもらい、たくさんの子育て家族を取材させてもらうことで、命ってすごいな、こんなに大切なことはないな、と感じるようになったんです。それで、父親になりたいなという意識が芽生えてきて、一緒に映画を作っていた彼女と、「婚約」をする前に、一緒に子どもを産み育てようという「産約」をしました(笑)。
牛山さん:
だから彼の場合は、出産にも子育てにも120%意欲的でしたね。
豪田さん:
彼女が妊娠したときは、本当に嬉しかったですし、さらに勉強もして、健診にも出産にも立ちあいました。確かに男性は妊娠・出産を体感できないからよくわからない。女性陣にもできればここは寄り添ってほしいですね。でも、その「わからない」を乗り越えた先に見える景色は本当にすばらしいし、僕はギャップがあっただけになおさら、より多くのパパたちにその景色を見てほしいなと思っています。
──男性の意識を高めるために社会はどう変わっていけばいいと思いますか。
豪田さん:
先の長い話になりますが、とにかく教育ですね。まずは小中高などで“子育てを義務教育化”する。男性は10歳を過ぎると、赤ちゃんや小さい子に触れる機会が極端に減ります。生理など出産に関わる身体的な変化もないだけに、妊娠・出産を実感する経験もほとんどない。それが、父親意識が芽生えないことにつながっているとも思います。
社会人に対しての教育は、男性の産休・育休ですね。これが推進されれば、おのずと「教育」になると思います。ただ取るだけではなくて、何をすればいいのかまで会社などで学べるといいですね。
ビジネス上の必須スキルとして最近注目されている「共感力」というものは、「命が産み育てられていくこと」から学んでいかないと、本当には身につかないと僕は思っています。だから雇用主側も、育休を、売上・利益に関わる課題として捉えてほしいですね。
牛山さん:
産院もしくは自治体の父親学級は1回程度が多いですが、とてもじゃないけどたりません。少なくとも5~6回は必要です。保険点数など細かな課題はありますが、ぜひ推進してほしいです。
また、男性が産後うつになる割合は、女性とほぼ同じ。仕事に奮闘しながら、育児もがんばる男性へのサポートも求められていますね。