全身の細胞は「幹細胞」からつくられる
アンチエイジングの基礎となるのが、細胞についての正しい理解。人の細胞は、全身でおよそ37兆個あります
(※1)。 この細胞が加齢とともに衰え、正常に機能しなくなってくるのが、いわゆる「老化現象」です。
細胞はつねに修復され新しく生まれ変わっていますが、それにも限界があります。年齢とともに、若くて元気な細胞より、損傷した細胞のほうが多くなってきます。 一方で人の体には、各組織、臓器を構成する多様な細胞のもととなる〝幹細胞〟があり、全身に新たな細胞を供給しています。幹細胞は、再生医療の分野でも注目されている領域。 しかし、幹細胞自身も老化から逃れることはできず、この幹細胞の老化をいかに防ぎ、活性化させるかが、全身の老化を遅らせるカギとなります。
幹細胞は大きくふたつに分けられ、ひとつは、決まった組織や臓器を修復、再生する「組織幹細胞」です。 もうひとつは、ES細胞(胚性幹細胞)のように、人の体のどのような細胞でもつくり出せる「多能性幹細胞(Pluripotent Stem Cell)」。
こうした幹細胞の性質を利用し、「再生医療」という新しい治療法が、現在、注目されているのです。
「幹細胞を活性化するには、幹細胞が存在する環境〝ニッチ
(微小環境)〟をよりよい状態に保つことが必要です。これは健康長寿の秘訣であると同時に、シワ、シミなどの肌老化や、血管、筋肉の老化などによる不調の改善にも役立ちます。 反対に『最近、急に老けた気がする』という人は、幹細胞がダメージを受け続け、減少してしまっているかもしれません。 最近では幹細胞を増やすための美容医療も注目されていますが、毎日の生活習慣を見直すだけでも、幹細胞の活性化につながります。まずは細胞の修復と再生に密接にかかわっている〝睡眠習慣〟を見直すことから始めましょう」(日比野先生)