年齢を重ねると「塗って隠す」にも限界があります。いまどきのメイクで必要とされる「抜け感」を出すためには、ファンデーションに頼らない美肌をめざしたいところ。 そのために必要な、35歳からのスキンケアとは? 多くの女優やモデルの肌にふれてきた、ヘアメイクアップアーティストの赤松絵利さんに、その秘訣を伺いました。
念入りなクレンジングで、角質をためない習慣を
「35歳、40歳を過ぎると『そのメイクかわいい!』とはあまりいわれませんよね。いくつになってもほめられるのは、メイクじゃなく、肌の美しさなんです。そのためにもっとも必要なのが『角質ケア』です。 年齢を重ねると、肌のターンオーバーがどんどん遅くなり、角質がどんどんたまっていきます。若いころと同じスキンケアでは、肌がごわついて、何を塗ってもきれいにのりません。 高額な高機能ファンデを使ってみても、肌のゴワゴワだけはカバーできず、隠そうとして厚塗りになってしまうだけ。角質をためないための毎日のケアが、何より肝心です」(赤松さん)
そこでまず見直したいのが、毎日のクレンジング習慣です。赤松さんによると、「落としかたが簡単すぎる人が多い」のだそうです。 目尻を洗うときには、目尻の下を軽く引っぱり、目尻のしわのあいだまでこまかくふれて汚れを落とす。 小鼻のわきを洗うときも、小鼻を指で押さえたうえで、指先でていねいに落とす。 こうした心がけで、細部まできっちり手をかけて、角質と汚れを落としていきます。そのうえで保湿をすれば、保湿効果も十分に得られるといいます。
「多くの女性が気にする法令線も、小鼻のわきから始まってるんですよね。そこに角質がたまっていたら、乾燥して、どんどんしわっぽくなっていきます。 加齢が気になる部分こそ、念入りに洗う意識が大切です。若くてぷにぷにした肌のときと、同じ洗いかたではダメなんですよ」(赤松さん)
お気に入りは「Make It&Co.」のウォッシュオイル
ちなみに、そんな赤松さんがクレンジングに愛用しているのは、イギリスのコスメブランド「Make It&Co.」のウォッシュオイルなのだそう。 ウォッシュオイルという名前ですが、洗浄剤などはいっさい入っていません。肌を傷めることなく、良質のオイルで皮脂汚れを乳化させ、きっちり落とします。 ウォータープルーフのメイクアップ用品も、このオイルで肌をマッサージし、ぬるま湯で乳化させるだけできれいに落ちてしまいます。 成分としては美容液と同じなので、洗顔後の保湿もこの1本で可能。洗顔後に数滴分を顔につけるだけで、十分に保湿できるそうです。
「これまでたくさんの肌を見てきたなかで、私が〝美肌三人衆〟と呼んでいる女性が3人いるんですが、そのうちの2人がこれを使っていて。『もっと若いうちから使っておけば!』と、私自身も後悔しているくらいです。 いまはうちのサロンのスタッフも、全員これを愛用しています。もともとは、「Fragrant Earth」というオイルの原料屋さんで、有名な化粧品ブランドは、こぞってここのオイルを原料に使っているといってもいいくらい。品質の高さは保証済みです」(赤松さん)
顔だけでなくボディにも使えて、年齢とともにかさつきがちな、脛や二の腕などにもおすすめだそうですよ!
オイルならクレンジング後の洗顔料はいらない
「クレンジング後に洗顔料を使う」という習慣も、オイルクレンジングなら必要ありません。 そもそもクレンジング後に洗顔をしないといけないのは、クレンジング剤に含まれる乳化剤のために、肌にべたつきが残るから。オイルで落としてしまえば、乳化剤も含め、よけいな成分は残りません。 界面活性剤でできた洗顔料で、肌に負担をかける必要がなくなるのです。「洗顔後すぐに肌がつっぱる」という悩みがある人は、ぜひ良質のオイルクレンジングに切り替えてみてください。
「あと『敏感肌だから』といって、マイルドなクレンジング剤を好む人も多いのですが、この傾向も考えものです。〝やさしいふりして何もしない〟のでは、化粧品としてわざわざ使う意味があるかどうか。 いまの化粧品で、『いいことも悪いこともない』と感じているようなら、もっと良い変化を実感できるものに変えてみることをおすすめします」(赤松さん)
〝酸性美容〟でたるんだ肌を引き締める!
クレンジング後の保湿も、もちろん重要。上質のオイルを数滴分手にとり、まずは顔全体にいきわたらせます。目元の小じわ、口角のくぼみ、法令線など、加齢が気になる部分には、指で引っぱってハリを出した状態で、念入りに塗っていきます。 オイルでなく化粧水や乳液がいいという人は、化粧水をたっぷり使うのがコツ。「もう十分潤った」「これ以上は入らない」と感じるまで重ねづけします。そのうえで乳液を使えば、基本的にはクリームなしでも潤います。
あまり知られていないことですが、製品選びではpHも重要だそう。前述のオイルなどを使うと、クレンジング中も保湿の際も、肌が弱アルカリ性に傾かず、弱酸性に保たれます。 そのため、肌を構成するたんぱく質を、引き締める効果が期待できるといいます。年齢を重ねてたるみがちな肌にはうれしい効果ですね。 一般的な化粧品は、ほとんどが「弱アルカリ性~アルカリ性」で、またpHの表示もないのが難点ですが、「弱酸性」とうたわれたオイルや化粧水・乳液があれば、一度試してみる価値がありそうです。
「洗顔料などに含まれる洗浄成分も、肌を弱アルカリ性にしてゆるめてしまうものです。その意味でもダブル洗顔いらずの、先ほどお話したオイルで汚れを落とし、保湿までするのが理想的です。 肌のバリア力が高まりますから、年齢を重ねた女性に多い〝揺らぎ肌〟の改善も期待できますよ」(赤松さん)
取材:川西雅子