Eテレにもジェンダーレスの波が来た
「ガラピコ」(別の星から不時着したらしい)は、いわゆる「男の子/女の子らしさ」とはスパッと切り離されたキャラクターです。性別は不明。一人称は「わたくし」か「ガラピコ」。誰にでも敬語で話すジェンダーレスなロボットです。ロボットのわりには結構キレやすく、チョロミーとしょっちゅうケンカしています。
そして主人公格ともいえるのチョロミーは、競争やスリルが好きで、ハイテンションな女の子。今までの「しっかり者女子」枠からは、明らかにはみ出した暴れん坊。はちゃめちゃな言動で周囲を振り回すトラブルメーカーです。こういう役って、これまではわんぱく男子の特権だったのでは?
そんなチョロミーとすべてが対照的なのがムームー。「ポロリ」「メーコブ」の系譜に連なる繊細で感性豊かな男の子ですが、実は自分の「好き」がはっきりしているし、地道にコツコツ積み上げることができる努力家。大人になって伸びるのはきっとこういうタイプ…!
既存のジェンダー観から切り離されたロボットと、典型的な「らしさ」の真逆に振り切った女の子と男の子。
女の子だからって、お行儀のよいいい子ばかりじゃない。男子より活発な女子だって、たくさんいる。
男の子だって、運動よりお絵かきが好きでいい。女子より内気で、すぐに泣いちゃう男子だって、たくさんいる。
Eテレはしっかりと時代を読み、先陣を切って不均衡なジェンダーバランスをフェアにしてくれたのだ、と筆者は(勝手に)確信しています。
性別にとらわれず、自由に何かを選び、好きなことをしよう。
そんなメッセージが子どもたち、そして親になった大人たちにもきっと届いているはずです。
ちなみに、ガラピコがチョロミーのことは呼び捨てなくせに、ムームーのことは「ムームーちゃま」と呼び分けているのが個人的にツボです。
文/阿部 花恵