子供に後悔させないために親がすべきこと

──今後、教育の世界で、一気にオンライン授業の導入が加速しそうです。啓明館としてはどのような展開を考えていらっしゃいますか。

 

後藤さん:

先ほど申し上げたように、小学生にとってベストなのは対面の集団授業です。コロナ禍で集団授業が実現できない今は、それに少しでも近づけるよう、Zoomを使ったリアルタイムの授業も始めています。

 

子供にコンテンツを見せるだけでは教育にはなりません。基本的には子供は家から出ないと社会化されないのです。ですから、オンライン授業などを利用する際も、リアルのやりとりは大切にしていきたいですし、家庭でも大切にしてほしいですね。

 

中学受験生は、6年生にもなると夜遅くまで塾で勉強します。保護者の方々にとっては、安全性や健康面が大きな心配の種でしょう。オンライン授業を取り入れることで、より効率的な学習を実現し、こういった問題も緩和していければいいと思います。

 

──後藤先生ご自身は今後、どのようなオンライン授業の展開を考えていらっしゃいますか。

 

後藤さん:

30年以上この仕事をしてきてずっと考えていたのは、どうすれば「自分から勉強する子を育てられるか」なんです。でも自宅で勉強しているとついつい親が口出しをしてしまう。その気持ちもわかります。塾の授業が再開したあとも、家庭学習を自主的自発的、かつ効率的なものとするために映像配信などを活用できれば面白いかなと思います。

 

──休校がいつまで続くのか、塾の授業や入試はどうなるのか、不安な保護者も多いと思います。そんな保護者たちにメッセージをお願いします。

 

後藤さん:

はっきり言って、この先どうなるかはまったくわかりません。この事態がいつになったら終わるのかも、残念ながら誰にもわかりません。

 

「子供の受験勉強が遅れるのでは」と焦り、不安に思うかもしれませんが、こんな非常事態が起きているのはみんな一緒です。とにかく今できることを精いっぱいやりましょう。

 

受験本番を迎えて、結果が出た後、「コロナ騒動がなければもっとできたのに」「自宅で用意できた環境が十分でなかった」など、いろいろ思うことはあるかもしれません。

 

でも、それをくよくよ考えても状況は変わりません。大切なのは「今何ができるか、何をするべきか」だけを考えること。来年2月の入試が終わったら、そのときはまた、進学することになった学校で次のステップに進めばよいのです。子供がそう思えるよう、今はとにかく目の前の課題をやるよう促しましょう。

 

保護者の方に一番心がけていただきたいことは、学習の遅れよりも、日々の生活習慣、学習習慣が崩れないようにすること。一度リズムが崩れたらグダグダになって、あとでどんなに後悔をすることになるか、子供はまだ知りません。決まったリズムで日々勉強を続ける、それさえできれば、長い人生のどこかで、きっと思いを遂げることができるでしょう。

 

──親がすべきは、子供の規則正しい生活リズムと学習習慣を身に着けさせること。子供が将来後悔しないよう、親はオンライン学習というツールを賢く取り入れていきたいですね。

 

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取材・文/鷺島鈴香 撮影/河内彩