言うまでもないことですが、何か問題を解決する時はまず、“考える”ことが重要。どこに問題点があるのか、どう解決すべきなのか、さまざまな思考を巡らせると思います。しかし長く考えた分、よい案が浮かぶとは限らないのかもしれません。

ファーストチェス理論って一体なに?

以前、とあるTwitterユーザーが「ファーストチェス理論」を紹介。この理論によると、チェスにおいて「5秒で考えた打ち手」と「30分で考えた打ち手」は、実際のところ86%が同じ手であると実証されているそうです。

 

つまりどれだけ長く思考しても、“最初に思いついた手段”に戻ってくることは往々にしてあるということ。また、“長考しても最善の手段を思いつくとは限らない”とも言えそうですね。

 

思い当たる人も多いようで、他のTwitterユーザーからは「これは仕事の会議でも“あるある”だと思う。長々と会議したのに、結局最初の案が採用されたりする」「長考していると“考えてる”っていうより“悩んでる”みたいな状態になって、結局いい案が出てこない」と共感の声が。実際に堂々巡りの長考をして、貴重な時間を無駄にしてしまった人は少なくないようです。

 

また、「例えば問題を解決する時は、長く考えるよりまずは行動するべき」との意見も。頭の中で解決策を組み立てるのではなく、「とりあえずダメ元で行動してみて、『何を解決できたか』『何を解決できなかったか』を観察するほうが大事」とも言われています。

 

“下手の考え休むに似たり”という言葉もありますが、場合によってはまず、なんらかのアクションを起こしたほうが、よい解決案が見つかるかもしれません。

じゃあ“長考はムダ”と言いきれるのか?

一方で「ファーストチェス理論」には、「チェスの世界ではそうなのかもしれないけど、実際には“30分”考えることも必要じゃない?」と疑問を呈する声も。何事も“即断即決”が正解だとは言い切れないようです。

 

例えば「もし同じ案に行きついたとしても、『よくわからないけどOK!』と『いろいろと検証をした結果、この案でいく』では全然違うと思う」といった意見が。確かに「5秒で考えた案」が偶然成功することはありますが、毎回うまくいくとは限りません。

 

一方で長考した末に思いついた案は、仮に失敗したとしても「何故失敗したのか」をとらえやすいというメリットが。そのため「“次に繋げる”という点では、しっかり考えることも大事」「いろいろなリスクに考えを巡らして『これならいける!』って自信を持てる案じゃないと、失敗しても何がダメだったのかわからないよね」などとも言われています。

 

そのほか、「なんだかんだ長く考えていれば、最初よりもっといい案が浮かぶこともある」という指摘も。逆に言うと「ファーストチェス理論」は新しい打ち手を思いついたケースが14%もあるともとらえられるので、「絶対に失敗できない場面では“14%”を捨てるわけにはいかない」「ビジネスではなんとしても“14%”の新たな手段も把握しておきたいところ」といった声も上がっていました。

思考に詰まったらどうすればいいの?

“即断即決”“長考”のどちらにもメリットはあるようですが、具体的にどのような考え方をすれば、よりよい手段にたどり着けるのでしょうか。

 

例えばネット上では「考える時間よりも、情報を整理する時間を長くとったほうがよい案を思いつく」といったアドバイスが寄せられていました。まずは考えるための土台となる部分を、しっかりまとめたほうがいいとのこと。情報を整理しているうちに、よい考えが浮かぶこともあるかもしれません。

 

そのほか、「自分1人で考えてるとどうしてもドツボにハマっちゃうから、ちゃんと考えたうえで他人に相談するべき」「どうしても妙案が浮かばなかったら、気分転換で全然違うことをするのも1つの手段」といった声も。長考をしているとつい内向的になってしまいがちですが、そういう時こそ広い視野を持てるとよさそうですね。

 

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文/長谷部ひとみ