B型肝炎ウイルスは、感染すると一部は肝臓に慢性的な炎症を引き起こし、肝硬変や肝臓がんを引き起こすウイルス。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、異常が生じたとしても発見が遅れることは珍しくありません。 そんなB型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染します。注射の回し打ちや輸血で感染するとイメージする方が多いと思いますが、実は「性行為」も代表的な感染ルートのひとつです。 「B型肝炎ウイルス」と性行為での感染について、詳しく解説します。

「B型肝炎ウイルス」に感染するとどうなる?

 

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B型肝炎ウイルスは、肝臓に炎症を引き起こすウイルスです。しかし感染したとしても、すべての人が肝臓にダメージを負うわけではありません。 通常の免疫力がある健康な成人であれば、多くの方は自覚症状がないまま自然に体内のウイルスが排除されていきます。

 

23割の人は、感染後16か月後に「急性肝炎」を発症し、倦怠感・食欲不振・吐き気・黄疸など、肝臓の機能が低下することによる症状が現れます。 B型肝炎ウイルスによる急性肝炎は、重症化することはほとんどなく数週間で自然に治り、体内に侵入したB型肝炎ウイルスは排除されるのです(※1)

 

一方、残り1割の人は、急性肝炎を発症した後にいったん炎症は落ち着くものの、体内のウイルスが排除されずに感染が持続していきます。 その結果、肝臓の細胞に弱い炎症が続いて肝臓にダメージが加わり、肝硬変や肝臓がんに移行していくとされているのです。

 

1年間に慢性肝炎から肝硬変へ移行するリスクは15%、肝硬変から肝細胞がんに移行するリスクは38

(※2)。放置する期間が長いほど、重症化するリスクは高くなります。

 

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