子どものために、大人は何ができるか

パパカード
左がフィンランド版、右が日本版のパパカード。「どんなお父さんになりたいですか?」などと語りかける。

──パパカードを読んでみて、とても基本的なところから、語りかけるような口調で書かれているのが特徴的だと感じました。

 

草地さん

翻訳する上で一番注意したのは、「お父さんを批判しない」ということです。

 

指導や教育をするのではなく、お父さんの気持ちに寄り添って、「お父さんはそのままでいいよ。でも少し子どもに寄り添ってみると、お父さんの世界も変わっていくよ」というメッセージを込めました。

 

──確かに今のお父さんは「もっと育児をしてね」「お母さんは大変だから助けてあげて」と変わることを求められることが多いかも…。男性が家事や育児に関わる、というのは今後も進んでいくとは思いますし素晴らしいことですが、それでストレスが溜まって家族に悪影響が出てしまっては意味がありませんよね。

 

草地さん

「イクメン」という言葉が流行するようになってから、料理や離乳食作りもできて、子どものおむつも積極的に替えて、といった形が正解のような、そうしなければいけない、というような雰囲気も出てきたと感じています。

 

でも、「自分にはできない」と思っている人も、ちょっと膝を曲げて、子どもの目線に立って、顔を見ながらにっこり笑うだけで、子どもへの影響は変わる。料理が苦手でも、パートナーを大切にして感謝の言葉をかけるだけでも関係が変わってくる。パパカードでは、そういう等身大の部分を強調しています。

 

「こうしなければいけない」というのではなく、あくまで子どもの健やかな成長を促すために、私たち大人がどうするべきか、ということを考えるきっかけにしたいんです。