やらなきゃいけないことはいっぱいあるのに、何もする気になれず、ソファでゴロゴロ。 その結果、「自分は何てダメなんだろう」と感じて、もっと気分が沈んでしまう…こんな経験、誰しもあるのではないでしょうか? 認知行動療法では、このような気分と行動の関係に着目し、そのパターンを変えていくことも重要です。 実際にはどのように進めるといいのか、臨床心理士の中島美鈴先生に教えていただきました。

中島 美鈴先生 臨床心理士。1978年、福岡県生まれ。広島大学大学院教育学研究科修了後、独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター勤務、東京大学大学院総合文化研究科助教、福岡大学人文学部研究員などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府博士後期課程在籍。集団認知行動療法の臨床・研究に力を注ぐ。『くよくよ悩んでいるあなたにおくる幸せのストーリー 重~い気分を軽くする認知行動療法の34のテクニック』『セルフ・コンパッションのやさしい実践ワークブック』(星和書店)など、著書・翻訳書多数。

 

「パターン崩し」で価値観を変えていく

 

「行動目標が高すぎたり、やることの量が多すぎると、それに圧倒されて身動きがとれなくなります。

たとえば、〝夕食のおかずは2、3品必要〟と考えている女性の場合。

親世代は当たり前のようにやっていた行動かもしれませんが、働くママにとっては、はっきりいって負担です。

だったら、おかずを1品に減らしてみる。あるいは、2、3品のおかずのうち1つを冷凍食品にしたり、スーパーで買ったお惣菜にする。

そうやって、自分が当然のこととしてやっている行動パターンを、あえて崩してみるんです。

そうするといつもの行動でなくてもいいんだということが、現実にわかってきます」(中島先生)

 

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これが、中島先生が勧める「パターン崩し」の考えかたです。 〝おかずが2、3品ないといけない〟というのは、旧世代の親から引き継がれた行動、価値観ですが、現実にそぐわないことを、いつまでもやる必要はありません。 現実には、おかず1、2品であっても、冷凍食品であっても、家族が喜んでご飯を食べればそれでいい。 実行に移して、何の問題もないとわかれば、無理のない行動パターンを続けていけばいいのです。