女性ホルモンは一般に、35歳前後をピークに減少していきます。 でもなかには、45歳前後になっても女性ホルモンがさほど減らず、むしろ著しく増加するなどの変動が見られる女性もいます。 それが気分の変調だけでなく、「腟カンジダ症」という感染症の原因になることも。 女性ホルモンと心身の不調との関係、その治療のしかたについて、女性泌尿器科医の関口由紀先生にお話を伺いました。

 

<取材協力>関口由紀先生
女性泌尿器科専門医、女性医療クリニックLUNAグループ理事長。横浜市立大学医学部泌尿器科客員教授。世界標準の女性医療をめざし、女性医療クリニックLUNAグループを展開。女性泌尿器科、女性内科、婦人科、乳腺外科、美容皮膚科と、幅広い診療科を設けている。女性の性機能、性の悩みも専門とし、FSD(女性性機能障害)外来も開設。

 

ホルモン分泌は、少なすぎても多すぎてもダメ

 

「卵巣から分泌される女性ホルモンの量は、生涯でティースプーン1杯ほどといわれています。

ほんのわずかな量でも効果を発揮するということは、女性ホルモンのわずかな変動でも、心身の調子を崩すということ。

とくに閉経前後の45~55歳の女性は、女性ホルモン量の変化、男性ホルモンとのバランスの変化によって、心身の状態が乱れやすいんです。

最近では30代後半からの〝プレ更年期〟も問題になっています」と関口先生。

 

45歳頃を境に、それまで安定していた女性ホルモンは、急激にアップダウンを始めます。 一方の男性ホルモン量は変化しないため、ホルモンバランスが急激に崩れることに。こうした変化は、脳内の神経伝達物質にも影響を及ぼします。

 

関口先生によると「人の感情、気分、意欲などは、脳内の神経伝達物質に左右されています。

その代表が、幸せホルモンとよばれる〝セロトニン〟、心身を闘争モードに導く〝アドレナリン〟、興奮や快感にかかわる〝ドパミン〟の3つ。

女性ホルモン量がアップダウンしている状態では、これらの分泌量もつねに変動し、イライラや落ち込みなどにつながってしまうんです」

 

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